営業に必要な動因という資質について
“優れたセールスパーソンは、少なくとも2つの本質的な資質を備えている“
1964年にハーバードビジネスレビューに寄稿された、
『What Makes a Good Salesman(優れたセールスパーソンの資質)』
という論文に記載の内容です。
さて、何でしょうか。
それは、“共感力“と“動因(どういん)“だそうです。
共感力は、いいですよね(必要性に共感頂けますよね)。
他人の考えや意見を察したり、相手の感情を汲み取るスキルです。
営業もコミュニケーションのひとつですので、
共感力は必須!高いに越したことはない、と言われても特に違和感ありません。
問題は、“動因(どういん)“です。
聞き慣れない言葉です。
辞書的な意味は、
欲求の原因になる力、人を行動に駆り立てる力、です。
同論文によると、言い換えれば“征服欲“だそうです。
優れたセールスパーソンは、対価を得るためだけでなく、
自分なりのやり方で商談をまとめたい、まとめる必要がある、という
独特の動因、言わば征服欲を(強く)持っているのだそうです。
自分の意見(提案)を採用してもらう、ということへの強い拘りと言えます。
そして重要なことは、
この共感力と動因という2つの要素をバランスよく持ち合わせることです。
動因という征服欲だけが先行しすぎると、
顧客の立場で考えたり、気持ちを察することは二の次になります。
それではいけません。
では共感力だけあればいいかというと、そうではありません。
相手の気持ちを慮るばかりに、
顧客に言いにくいことは言えず、本質的な課題解決に導けない可能性もあります。
それでは、付加価値の高い営業にはなり得ません。
個人的には、昨今の営業組織には後者の課題が大きいのではないかと思います。
顧客の意見・要望を尊重し、共感に偏重することによる提案力不足です。
動因が足りないのです。
上げていきましょう。
同論文によれば、動因は資質なので、
初めから動因の資質を持った人を探しなさい、とされていますが、
僕は、後天的にも強化できる要素であると考えています。
提案とは、ある種のチャレンジです。
必ず受け入れられるわけではありませんし、ミスすることもあるでしょう。
しかし、そこに創意工夫を重ね、しっかりと考え、踏ん張ることです。
自分に負荷をかけていくことです。
そうすることで、提案力が磨かれます。
提案力の向上と並行して、
“顧客にもっとこうして欲しい“という欲(=征服欲)が生まれます。
これが、動因となり更なる成果に繋がるはずです。
まずは、
「どうすればいいですか?」から、
「こうしていきましょう!」という商談を増やしていきましょう。
鍵は、顧客にこうなって欲しい、こうして欲しい、という“欲“です。
営業における提案という付加価値については、下記もご参考下さい。
追記)
『15分の少女たち-アイドルのつくりかた-』という、
アイドルオーディションを舞台にした漫画のあるエピソードです。
アイドルとしてデビューすることになった主人公のアイカ。
雑誌の撮影で、無難にポージングをこなしていく中、
新進気鋭のカメラマン(スジン)と言い争いになります。
求められていることに応えるだけではダメですか?というアイカに、
スジンが凄みます。。。
出典『15分の少女たち』45話 サークルの姫 より
ガツンときました。。。
営業はスターではありませんし、顧客はファンではありませんが、
期待を越えようとするチャレンジ(提案)は、絶対に必要です。
あらゆる仕事に通じる教訓だと思います。。。