ノウハウ・マネジャーという選択
最近では”管理職は罰ゲーム”なんて言われ方もするそうです。
責任と業務量が増えるのに、給料はそれほど上がらないという点や、
昨今の生産性を求められる働き方と若手社員のマネジメントの難しさ等のシワ寄せが、
管理職(特に中間管理職)の負担になっている、という指摘です。
皆さんは、どうお感じでしょうか?
僕個人としては、出世至上主義ということではありませんが、
管理職であること(になること)は、絶好の成長機会であると思う肯定派です。
ナポレオンの「人はその制服どおりの人間になる」というコトバにあるように、
求められるポジションや職責という環境が人の成長を促す大きな要因になるからです。
そう考えると、管理職というポジションがもっとあった方が良いのか・・・?などと
思いを巡らしていると、非常に興味深い視点がありました。
以下、インテルを世界最大の半導体企業に成長させた経営者、
アンドリュー・S・グローブ氏の『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』という書籍からの引用抜粋です。
ミドル・マネジャーの中に、もうひとつのグループに属する人々を加えるべきである。
それは、直接自らの指揮監督下になくても、
また厳密な意味では組織上の命令権限を持っていなくても、他の人々の仕事に対して影響力を及ぼす人たちのことである。
これらの、いわば「ノウハウ・マネジャー」と称すべき存在は、
組織の中で自分の周辺にいる人々に対して、知識と技能と理解の源泉となっている人々である。
彼らはスペシャリストであり、組織の中の他の成員に対してコンサルタントとして行動する一種のエキスパートである。
しかも緩やかな形で定められている情報ネットワークの中においては、事実上、中心的な結節点となる人々である。
したがって、「マネジャー」ということばの定義は広く考えるべきものであり、
ノウハウや情報を集めたり与えたりする個人個人も、
その組織内で大きな力を発揮するので、ミドルマネジャーとみなすべきである。
個人のキャリア戦略としても、非常に面白い切口だと思います。
特定の分野、業界、業務、においてのスペシャリストになることは、
何年もかけて総合的な管理職になるよりも近道です(簡単ではありませんが)。
そこで社内のプレゼンス(存在感)を強化することが、
今後のより良い仕事や大きな成果を生み出すことに繋がります。
じゃあ別に「マネジャー」と呼ばなくてもいいんじゃないか?という疑問も沸きますが、
同書ではマネジャーの仕事とはアウトプット(成果)を出すことであり、
マネジャーのアウトプットはその監督下または影響下にある組織のアウトプットである
というように明確に定義されています。
なので、ノウハウ・マネジャーのアウトプットは、組織のアウトプットなのです。
チームで成果を出している、ということをより正確に認識するためにもいいのかもしれません。
現在の組織で管理職のポストに空きがないのであれば、
まずはノウハウ・マネジャーから目指してみませんか?
このノウハウ・マネジャーは、組織において決定的に重要です。
トランザクティブメモリーという考え方からも裏付けられていますので、
ご存知なければ、こちらもご確認下さい(画像かタイトルをクリック)
追記)
因みに「マネジャー」は誤表記ではありませんw
声に出すと「マネージャー」なのですが、表記上の「マネージャー」は部活を連想するそうで、
ビジネス上のマネジメントに関わる人は「マネジャー」と表記するそうです。
まぁ、女子マネージャーがドラッカー読んでた位なので、どっちでもいいんですけどね・・・