人間は考えらえる葦である
「人間は考える葦(あし)である」
有名なフレーズなので、ご存知の方も多いと思います。
フランスの思想家、ブレーズ・パスカルの著書『パンセ』の一節です。
人間は、自然のうちで最も弱い一本の葦に過ぎない
しかしそれは、考える葦である
因みに「葦(あし)」は、イネ科の大型多年草で、高さ2〜3mに成長するそうです。
初めてこのフレーズを知った際、
「もっとわかりすい植物に例えて欲しいな・・・」
と思った気持ちは、今も変わりませんw
非常に良いコトバなのですが、実際の我々(人間)は、
どうやらなるべく”考えない”ように設計されているようで。。。
最もエネルギー効率の良い選択を好む「最小努力の法則」という傾向があるようです。
興味深い実験があります。
以下、書籍『「変化を嫌う人」を動かす』
(ロレン・ノートグレン、デイヴィッド・ジェンタル著)より抜粋、一部加筆修正
入院中の子供達を社会的に支援する、ある非営利団体(NPO)がある。
このNPOでは、入院している子供達を応援する手紙『ヒーローカード』を
送ってもらうよう働きかけを行なっている。
現在は、ボランティアを依頼された人の18%がヒーローカードを書いてくれている。
カードを書いてくれる人の数を増やしたいのだが、どうすれば良いか?
よく出てきたのは、
「カードがどれほど子供達のためになっているかを説明する」
「ヒーローカードを書いてくれた人に謝礼を支払う」
という案だった。
しかし、2つの案では、目にみえる変化が得られなかった。
しかし、ある案を実施すると求めに応じてくれる人の割が60%上昇した。
ある案とは
「ヒーローカードを書きやすくする為に、ヒントとなる雛形をいくつか提供する」
というものだった。
雛形を提供する方法が効果的だったのはなぜだろう。
病気の子供達を支援することが重要だと誰も思っていないのだろうか。
勿論そうではない。
そんなことをしても意味がないと思ったから、書きたがらなかったわけでもない。
何を書いたからいいかが分からなかったから書きしぶったのだ。
この実験から得られる気づきは、2点です。
ひとつは、
相手に選択して欲しい行動がある場合、考えるプロセスは少なくした方が良い
ということです。
顧客に要請したアクション、社内での取組や施策、部下への指示・・・
それらがなかなか浸透しないのであれば、
考えさせすぎなのかもしれません。
雛形を提供したり、デフォルト(初期値)の設定は、対策として有効利用できそうです。
もうひとつは、考えることは差別化になる、ということです。
雛形が無ければ、子供を応援するメッセージすら書けないのです。
それって、どうなんでしょうか?
考えなくても済む安易な選択に逃げず、
しっかり自分の頭で悩み、考えることができれば成長に繋がるのではないでしょうか。
なぜなら皆は、考えないからです。
「人間は考える葦である」とパスカルは言いましたが、
正確には「考えらえる葦である」です。
考えることは選択であり、機会です。
・考えなくても仕事が進められるように成長した時
・考えなくても選択できるようにプロセスが設計されている時
・面倒臭いから今のままでいいや、と考えることを止めたくなる時
機会と捉えることで、成長に繋がるのかもしれません。
「人間は考えられる葦である」
考えることも、考えないことも、ひとつの選択なので。
追記)
考えなくてもできるようになった状態は、成長の結果です。
そこに至るまでに多くの経験(=考えること)を経ているはずです。
出典:漫画『アオアシ』第6話 考える葦 より
ステージを登ったということは、
また別の考える機会を得たという感じでしょうか。
なかなか終わりのない戦いのようですね。。。
ただこの考える(悩む)過程にこそ、しっかりと意味があるようです。
詳しくは、下記をご確認下さい(画像かタイトルをクリック)