競争は進化の手段−レッドクイーン理論とシフゾウ現象−
“その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない”
ルイス・キャロル著『鏡の国のアリス』に出てくる、
赤の女王という登場人物のセリフです。
このセリフをアナロジーに用いた、レッドクイーン理論をご存じでしょうか。
ビジネスのセオリーは、競合他社と差別化し、
如何に戦わない領域を創るか?ですが、レッドクイーン理論では、
競い合う存在(ライバル)こそが成長の源泉であると教えてくれます。
生存競争による“共進化“というコンセプトが基になっています。
イタチがネズミを捕食する為に、追いかけている場面を想像して下さい。
ネズミは当然、必死に走って逃げますが、
イタチも食べられなければ餓死しますので、必死に追いかけます。
この時、仮にネズミの足がイタチより少し遅く、多くイタチに捕食されてしまうとします。
このままでは、ネズミは全滅です。
ドラえもんには好ましい世界線ですが、そうはなりません。
やがて、イタチより速く走れるように進化した(できた)ネズミが出てくると、
そのネズミはイタチから逃げ切り、生き延びます。
そうすると、今度は足が速いネズミが増えるので、イタチが捕食できなくなります。
イタチが飢えて、やがて全滅です。
ガンバの冒険的には好ましい世界線ですが、そうはなりません。
やがて、更に足が速く進化した(できた)イタチが現れ、ネズミを再び捕食します。
すると今度は更に速くなったイタチから逃げるべく、ネズミの足も更に速くなり・・・。
自分が全力で走っていも、競争相手も全力で走っているのであれば、
相対的にそれは「現状維持」に過ぎません。
相手より速く走りたいのならば、どこかで「進化」しなければなりません。
しかし、皮肉にもそれは競争相手の進化をも促します。
そして相手の進化は、さらに自分自身の進化に繋がる。
これが共進化です。
イタチごっこを成立させるには、お互いの進化が必要なのです。
生物進化学では、捕食関係にある生物種同士が競い合って進化し合う
この循環をレッドクイーン効果と呼びます。
レッドクイーン理論は、
企業間の競争こそ、進化(企業の競争力強化)の源泉である
という視座を与えてくれます。
少年漫画のライバルよろしく、競い合う相手は必要なのです。
しかし、この競争による共進化には、重大な落とし穴があります。
それは、競争相手だけをベンチーマークし、
競争そのもの(競争相手に勝つこと)を目的化してしまうことです。
そうすると、市場環境が変化し、別の競争環境で戦うことになったり、
新たなプレイヤーが現れた時に、生存できる力を失ってしまいます。
重要なことは、ライバルとの競争を進化の手段として捉えることです。
目的とすべきは、自身・自社のビジョンを実現することです。
ライバルとの競争を成長・進化する機会と捉え、
重要視しつつも、それ(ライバルに勝つこと)だけを目指さないこと。
それが、レッドクイーン理論の活かし方ではないでしょうか。
追記)
競合先ばかりを見ていると、他社と何が違うか?に論点が偏ってしまい、
肝心の顧客に訴求したいポイントがブレてしまいます。
これをシフゾウ現象と呼びます(僕が勝手に提唱しています)。
このシフゾウ(四不像と書きます)、
角がシカ、頸部がラクダ、蹄がウシ、尾がロバに似ているが、
そのどれでもないと考えられたことが名前の由来です。
自分のアイディンティを他者に委ねすぎですwww
もっと自分を大切にしろwww
まぁシフゾウが悪いわけではなく、命名した人が悪いのですが・・・
差別化戦略については、下記を参照して下さい。
シフゾウを反面教師に。。。