進化する為には道草をせよ
僕は小学生以来のMr.Childrenのファンなのですが・・・
久しぶりに聞いた『進化論』という楽曲の歌詞に、気になる部分がありました。

進化論では首の長い動物は
生存競争の為にそのフォルムを変えてきたと言う
「強く望む」ことが世代を超えていつしか形になるのなら
この命も無駄じゃない
出典:Mr.Children『進化論』(作詞:桜井和寿)
良い歌詞ですねぇ・・・、流石です。
ただ・・・野暮を承知で言いますが、これは間違いです。

一般的な現代の進化論とは、自然淘汰説を指します。
「高いところの葉っぱを食べたいから首を伸ばすぞ!」
と強く望んだからではなく、
単に首が長い個体が多く生き残り(自然淘汰され)、
子孫を残していった、という説です。
ただ、歴史的には「意思(目的)が形態を変える」と考えた説もあります。
代表的なのが 、ラマルクの用不用説 です。
動物は環境に応じて体を「使う・使わない」で形態が変わり、
その形質が子孫に遺伝する、という説です。
高いところの葉っぱを食べようと首を伸ばした努力が、
何世代にも渡り身を結び、実際に首が長い種になった、という感じです。
因みにダーウィンも、自然淘汰説と併用してこの説を主張していました。
現代の遺伝学で、
獲得形質(生まれた後に努力して変わった形質)は遺伝しない
ことがわかっているので、残念ながら間違い、ということのようです。。。
皆さん、鳥の祖先は恐竜である、という説を聞いたことがあるでしょうか?
僕が初めてこの説を知ったのは、映画『ジュラシックパーク』です。
確か、主人公の博士がこの説を主張していて、
皆んなから馬鹿にされている描写があった気がしますが、
現代では、ほぼ確立された説です。
ただ、これも自然淘汰の進化なのでしょうか?
空を飛びたいと強く望んだ個体が・・・という方が素敵な話ではあるのですが、
複雑な自然淘汰の進化、ということらしいです。
書籍『世界一シンプルな進化論講義』(著:更科 功)では、
恐竜から鳥への進化について、下記のように指摘しています。
以下、書籍『世界一シンプルな進化論講義』(著:更科 功)より抜粋、一部加筆修正
翼がない状態から翼のある状態まで、同じ向きの自然淘汰によって進化することはできない。
つまり、一直線に進化することはできないのだ。
はっきりしていることは、進化の方向がぶれまくっていたことだ。
そうでなければ、空を飛べる翼は進化しなかっただろう。
重要なのは、道草を食う時間である。
人生で一番楽しいことは、無駄遣いと道草だという。
無駄遣いはともかく、道草は進化にとって重要である。
目的に向かって一直線に進むような進化だけでは、
生物の複雑で素晴らしい構造をつくることはできないのである。
・・・なるほど。
当たり前ですが、急に飛べるような羽を授かったわけではなく、
保温の為の羽毛や、メスへのアピールなど、紆余曲折を経ての空を飛べる翼なのだ、と。
狙った進化していったわけでもなく、
その都度の自然淘汰(環境への最適化)によって、辿り着いたということらしいです。
この道草が、進化には大事なのだ、と。

これは、ビジネスシーンでも同じかもしれません。
狙った通りに組織を進化・レベルアップできるに越したことはありませんが、
不確実性の高いビジネス環境下では、そうもいかないことが多いのではないでしょうか。
その都度、最適化を図ってきた努力が結実し、
結果的に強い組織(変化に対応できる組織)になり得ることもあるでしょう。
その為に大切なことは、積極的に道草を食うこと、です。
これを経営学では”サーチ”と呼びます。
サーチとは、
認知が限られている組織(の意思決定者)が自身の認知の範囲を広げ、
新たな選択肢を探す行動です。
さぁ、未来の組織の進化の為にも積極的なサーチ(道草)を実施しましょう。
詳しくは、下記にて”サーチ”の概念他を解説していますので、
ご確認ください(タイトルか画像をクリック)

追記)
因みに、キリンは眠りが浅く短いという特性もあります。
外的に襲われてもスグに対応できるよう、立ったまま寝ることがデフォルトで、
横たわって深く眠るのは1日5分だそうですw
頑張りすぎだ!休めっ!
これも自然淘汰の結果で、よく寝るキリンの犠牲の上に得たスキルだと思うと
なんだか感慨深いです・・・
キリンを見習って、睡魔に打ち勝ち、もうちょっと頑張らないと。。。