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合理的な意思決定に潜むリスク-サーチを止めるな-

元メジャーリーガーのイチロー氏が、

 

高校球児に短期指導するという企画をご存じでしょうか。

 

 

 

 

TBSスポーツのYouTueチャンネルに動画があがっています。

 

 

プロフェッショナル仕事の流儀でのイチロー回は、どれも神回だと思っていますが、

 

この企画もイチロー節が利いていて、めちゃめちゃ面白いです。

 

 

その中で、非常に興味深い指摘(指導)がありました。

 

 

 

甲子園優勝実績もある超強豪校の短期指導にて、です。

 

 

その学校は、充実した設備、環境下で日々みっちりと質の高い練習をしています。

 

 

素人目には非の打ち所がないと見えるその高校に、イチロー氏は指摘します。

 

 

「練習量が多いと、試合で全力を出せない―」

 

 

 

 

毎日の練習量が充実していることで、

 

意識せずとも本能的に“最後まで体力が持つように”調整してしまうのが人間である、と。

 

 

実際の試合(本番)は、限られた瞬間の中で全力を出せるかどうか?なので、

 

自分は全力・フルスロットルで、どれくらいのプレーができるのか?という練習も

 

しなければならない、と指摘します。

 

 

 

練習は試合で勝つという目的のために実施するものなので、

 

練習をこなす(例えそうとは思っていなくても)ことが目的になってしまっていてはダメだ、

 

ということでしょうか。

 

 

 

また、甲子園出場経験のある別の強豪校での短期指導にて、です。

 

 

この学校は都内の進学校で、敷地面積や学業に力を入れているという側面もあり、

 

1日の練習時間が非常に限られています。

 

 

だからこそ、練習が非常に合理化され、ムダのない密度の高い内容になっています。

 

 

頭の良い学校ならではだと賞賛しつつも、イチロー氏は指摘します。

 

 

「ムダなことができない、という危険性がある―」

 

 

 

 

ムダだと思われていることから学ぶことは多く、ムダなことをしないと合理的になれない、と。

 

 

合理的というのはあくまでもその時点・状況・状態においてであって、

 

今後も未来永劫、合理的であるかはわからない。

 

 

合理的をアップデートしていく為には、ムダなこと(試行錯誤)をしなければならない、

 

ということでしょうか。

 

 

 

ビジネスにも通じるこの2つの指摘は、

 

人間が賢く、合理的に意思決定・行動するからこそ発生するリスクであると言えます。

 

 

人・組織は、基本的には合理的に意思決定をします。

 

 

しかし、その認知力・情報処理能力には限界がる為、

 

あくまでも与えられた条件下で最適な(合理的な)意思決定をしています。

 

 

例えば、本来取りうる選択肢が10あったとしても、そのうち認知できるのが2~3であれば、

 

その2~3の中で選択をしているということです。

 

 

そう考えると、本当の意味で最適な選択肢とは言えない可能性があります。

 

 

 

そこで必要になるのが、

 

取りうる選択肢を増やすためのアプローチ、サーチ(search)です。

 

 

 

 

以下、入山章栄著『世界標準の経営理論』より抜粋、一部加筆修正


 

サーチとは、もともと認知が限られている組織(の意思決定者)が自身の認知の範囲を広げ、

 

新たな選択肢を探す行動である。

 

一般的に組織は現状に対する満足度が低いほど、サーチを活発に行う。

 

満足度が低ければ「自分の認知はまだ狭く、この世にはもっと自分をサティスファイ(満足)

 

させてくれる選択肢があるのではないか」と考えるのが合理的だからだ。

 

しかし、サーチ活動はコストも、時間も、認知的な負担もかかる。

 

従って組織は現状に満足してしまうほど、

 

「これ以上のサーチは行わない方が合理的」と考えてしまうのだ。

 

組織が合理的だからこそ、サーチが停滞するのである。

 

組織にとって重要なのは、常にそのアスピレーション(目線)を高く保てるか、にある。

 

成果・結果への期待が高まっても、それに合わせて更に目線を上げることができなければ、

 

満足度が高いままになり、サーチをしなくなる。

 

直感的に言えば、うまくいっている時こそ、更に目線を高くせよ、ということだ。

 


 

 

甲子園に出場する位の学校なので、組織として成功体験を積んでいるはずです。

 

 

自分たちを強くしてきた「練習」にフォーカスして取組むことで、

 

無意識のうちに合理的に力をセーブしてしまっている、というリスク。

 

 

合理性を求めた練習方法を確立できたことで、

 

新しい方法を試行錯誤する機会を制限してしまっている、というリスク。

 

 

 

成果を出せた組織だからこそ発生するリスクに対して、

 

目線を上げてサーチを行う重要性を教えてくれる指摘でした。

 

 

 

では、営業パーソン・組織はこの指摘をどう活かせばいいでしょうか。

 

 

営業パーソン・組織としてのサーチを続けることは勿論、

 

顧客が成果を出す為に、時に顧客の目線を引上げるお手伝い、

 

顧客のサーチを担い認知を広げるお手伝いをしていかなければなりません。

 

 

 

“目の高さ(目線)”をしっかりと意識しましょう。

 

 

 

※以下出典『はじめの一歩』24巻 Round 207 目の高さ より

 

 

 

 

追記)

 

成功体験の有無に関わらず、現状を変えることには簡単ではありません。

 

 

僕達には、現状維持バイアスが立ちはだかるからです。

 

 

こいつ(現状維持バイアス)がまた、厄介なのです。。。。

 

 

詳細は【PKを蹴る勇気-現状維持バイアスを乗り越える-】を参照下さい(画像クリック)

 

 

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