PKを蹴る勇気−現状維持バイアスを乗り越える−
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“PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ“
1994年のW杯決勝でPKを外してしまった、ロベルト・バッジョの言葉です。
因みに、この言葉は98年W杯でPKを外したチームメイトに言った言葉で、
自分が外した94年当時に言った言葉ではない、という話もあります。
息子が小学校1年生の時に、サッカースクールに入りました。
入って1ヶ月位で、そのサッカースクールが主催する大会があり、参加しました。
初心者でも必ず試合に出してくれる優しいスクールです。
チームメイトに上手な子が多く、決勝まで勝ち進みました。
そして、同点のままPK戦に突入。
コーチが「PK蹴りたい人?」と皆に聞きます。
そこで、嬉々として手を挙げる初心者の息子!
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普通ならビビってしまうところなので、
根性あるなぁと思っていたのですが、ふと気づきました。
これは“勇気“ではありません。
“無知“だからです。
このPKの重要性、プレッシャー、外したらどうなるか?を
単純に知らない(想像できない)だけなのです。
僕達は、歳をとり、様々なことを経験し、知識を得ることで
“何かに挑戦すること“に対して、リスクを感じる(知る)ようになります。
「挑戦して失敗するくらいなら、最初から挑戦しない方がいい」
という心の働きを、現状維持バイアスと言います。
※以下、用語の説明等は書籍『認知バイアス辞典』より引用、加筆修正しています
▼現状維持バイアス
何かを変化させることで現状がより良くなる可能性があるとしても、
損失の可能性も考慮して、現状を保持しようとする傾向
リスクを避けることは、賢く生きる上での知恵とも言えますが、
挑戦・変化が必要なタイミングもあります。
何かしらの意思決定をするには、
この現状維持バイアスを乗り越える必要があります。
営業活動で考えてみます。
お客様が何かしらの商品・製品・サービスを購入する、ということは
この「現状を変える」という意識決定を実施した、ということです。
営業パーソンは、
お客様が“現状維持バイアスを乗り越えること“を支援しなければなりません。
心理学・行動経済学では、
人は何かを得る時よりも、失う時に受ける影響が大きいとされています。
利得と損失がどれくらいの倍率であれば釣り合うのか?という、
損失回避の倍率については、多くの実験が行われています。
個人差はありますが、損失の1.5〜2.5倍の利得があって、
初めて損と得が釣り合うと感じる、という実験結果もあります。
この“価値の感じ方の歪み“を価値関数、というのですが、下記のイメージです。
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損得が同じ1万円でも、
それにより感じる「嬉しい」と「悲しい」には差が生じます。
よって、嬉しいという感情が上回る為には、
得が損の1.5〜2.5倍の大きさとなる必要があります。
金額・投入工数に対して、
1.5〜2.5倍の価値を感じて、お客様は購入を決定するのです。
この感じる価値(行動を起こすメリット)が、倍率を下回る場合、
損をする可能性から現状維持バイアスが発生する、ということです。
商品・製品・サービスのみで、この倍率をクリアできる場合は問題ありません。
商品説明、それだけで売れます。
それが難しい場合、営業の力が必要です。
投資対効果、費用対効果、購入・導入によってどのようなことが期待できるのか?
しっかりと提案し、価値を訴求しましょう。
営業とは、ある種お客様に「教える」ことも求められます※。
※詳細は、こちらも参考にして下さい(画像クリック)
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コーチという仕事に似ているのかもしれません。
「頼む、PK蹴ってくれ!」とお願いするだけでなく、
・君のキックならこの蹴り方で、、、
・あのキーパーならこのコースに、、、
・このPKが決まれば、、、、
と的確にアドバイスし、背中を推せるコーチになりたいモノです。
追記)
因みに、息子は1番手ではなかったのですが、PKの順番が回ってきました。
「シュートとは、ゴールへのパスである」というジーコの格言さながらに、
キーパーへ優しいパスを蹴り込んで、失敗していました。
ただ、何事にも挑戦して欲しい、という親心もあり、
キッカーに手を挙げられたことと、PKを必要以上に褒めました。
結果、1大会で1回あるかどうかわからないPKの練習に毎週末付き合うことに。
なかなか思い通りにはいかないですね。。。
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