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環境をコントロールする-対応バイアスと善きサマリア人の実験-

 

「遅刻した時の言い訳は、何をよく使いますか?」

 

 

と聞かれたとします。

 

 

いや、言い訳じゃなくて、

 

毎回ちゃんとした理由があるんですよ・・・

 

 

と言いたくなりませんでしょうか。

 

 

・たまたま、電車が遅れてしまった

 

・昨晩、立て込んでいて寝るのが遅くなった

 

などなど。

 

 

一方で自分以外の人が遅刻した時には、

 

 

・相変わらずルーズだな

 

・そういう性格だもんな

 

 

と考えがちです。

 

 

これは、

 

一般に、私達は自分の行動の原因はその時の“状況“に求めるが、

 

他人の行動の原因はその人の“性格“、“意思“、“態度“などに求めることが多い

 

という心理的傾向で、対応バイアスと呼ばれるものです。

 

 

思い当たる節がありませんでしょうか。。。

 

 

僕も仕事がら直面してしまうのが、

 

研修を受講したが思ったような変化がない」という問題です。

 

 

ご相談される管理職がやってしまいガチなのが、先の対応バイアスです。

 

 

変化できないのは、その人の性格や能力など、内面的な部分が原因であると。

 

 

勿論その要素も多分にあって、マインドセット、意識で変えられる部分も十分あるのですが、

 

その人が置かれている環境、状況にも理解と考慮が必要だ、ということです。

 

 

以下、少し長いですが、

 

「善きサマリア人の実験」という興味深い話がありますのでご紹介します。

 

マルコム・グラッドウェル著『ティッピング・ポイント』からの引用です(一部加筆修正)

 

 


▼「善きサマリア人」という聖書に出てくるエピソード


 

 

ある旅人がエルサレムからエリコへ通じる道の途中で追いはぎに襲われ、

 

半死半生のまま道端に打ち捨てられた。

 

通りかかった司祭もレビも立ち止まらずに、道の反対側を通りすぎていった。

 

ただ一人助けたのはサマリア人(軽蔑されていた少数民族の一員)で、

 

近寄って傷の手当てをし、宿場まで連れていった。

 

 


▼実施した実験


 

任意で選んだ神学生の一人ひとりにあって、聖書のテーマに基づく短い即興の談話を依頼した。

 

そして、近くのビルまで歩いていって、発表してもらう。

 

会場まで行く途中で、道で行き倒れになっている人に出会う。

 

頭を垂れ、目を閉じ、咳き込んだり、呻いたりしている。

 

さて、この時誰が立ち止まり、助けようとするか?という実験。

 

 


▼その際、下記の3種類の変化を設定した。


 

1)神学研究を選んだ動機に関して下記2種のアンケートを実施した

 

A:宗教を個人の精神的な充足の手段だと思いますか?

 

B:それとも日常生活に意味を見いだすための実践的な手段だと思いますか?

 

 

2)依頼する談話の主題に変化をもたせ、下記2つに分けた

 

A:職業としての聖職者と宗教的使命の関係を主題にする学生

 

B:「善きサマリア人」のたとえ話を主題にする学生

 

 

3)学生を送り出すときに、下記2つの言葉をかけた場合に分けた

 

A:「あ、遅刻だ。向こうでは数分前から君を待っている。急いだ方がいい。」

 

B:「まだ数分の間があるが、そろそろ出かけた方がいいだろう。」

 

 

では、どの学生が「善きサマリア人」を演じるか??

 

 


 

普通に考えると、

 

1)でBと回答した、宗教を実践したいと思っている学生や、

 

2)でBに分けられた、善きサマリア人を意識(想起)した学生だと思います。

 

 

が、結果として殆ど差は見られなかったそうです。

 

 

この実験で、唯一学生の行動を左右したのは、3)の場合。

 

 

「急いでいるかどうか」だったそうです。

 

 

時間に余裕のあったBのグループの63%が立ち止まったのに対し、

 

遅刻だと思っているAのグループは10%しか立ち止まらなかったと。

 

 

この実験から

 

 

行動の方向性を決めるにあたって、

 

心に抱いている確信や、今何を考えているか?というようなことは、

 

行動しているときのその場の背景ほど重要ではない

 

 

ということが考えられる、という話です。

 

 

 

研修で学んだことに納得したり、会社の経営理念に共感していたとしても、

 

それが発揮できる“状況“になければ、実践できない、ということです。

 

 

環境を作りコントロールしないと、環境に作られコントロールされてしまう

 

by マーシャル・ゴールドスミス(コーチングの神様)

 

 

という言葉もあります。

 

 

正しく行動する為には、

 

背景(環境・状況)を「準備」しなければならないということです。

 

 

 

営業的なシチュエーションで考えてみます。

 

 

例えば、Aという商品を提案したい、とします。

 

 

Aという商品は、今期の方針でも推していきたい商品で、その必要性は理解できています。

 

ただ「Aという商品を提案しないといけない」と頭では理解していても、

 

その日の商談の流れで、

 

・なんとなく案内の機を逃してしまい、提案できず。。。

 

・他にも色々やることあって忙しくて、結局アクションできず。。。

 

みたいなことがありませんでしょうか。

 

 

提案する為の、背景(環境・状況)を「準備」しましょう。

 

 

・Aを訴求する為に、お客様の情報を再度調べた方がいいかもしれません

 

・ヒアリングすべきことがあれば、リストアップしましょう

 

・そのヒアリングの仕方(どう聞くか)迄考えておけば、外しません

 

・商談のどのタイミングで案内しますか?最初?最後?

 

・お客様からの質問が想定できませんか

 

 

どこまで準備するかは個人差があっていいですが、

 

是非、正しく行動できるように、環境をコントロールすることを考えてみて下さい。

 

 

 

追記)

 

以前なにかのテレビで、上岡龍太郎氏が言っていました。

 

遅刻してきた弟子の言い訳が

 

 

「向かい風が強くて・・・・」

 

 

で、面白かったので許したとww

 

言い訳もクオリティと準備次第でしょうか。。。

 

 

 

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