鏡の中の男の法則-足らずを知らずの回避-
「足るを知る(たるをしる)」というコトバがあります。
「現状に満足し、その有難みに感謝しましょう」という感じの意味です。
元々は、中国の思想家、老子の言葉(=知足者富)だそうです。

言わずもがな、大切な視点ですよね。
ここで、あえて逆を考えてみましょう。
「足らずを知らず」となるでしょうか。
勿論こんな諺はなく、めちゃめちゃに造語ですが、
「現状に目を背け、足りていないことに気づけていない」
という感じでしょうか。
これは、よくないですw
ただ、残念ながらそのような状況になっていることがあります。
個人で見ても、組織で見ても。
働く上でのモチベーションの重要性が説かれ、
世代間を問わずモノの言い方にも配慮がなされ、
できていないことよりもできていることに目を向けることが推奨され。
その傾向自体は完全にイイことだと思いますが、
反面、よくない現状に目を背けることになっていませんでしょうか?
「完全にイマイチな状態だけど、それを指摘しても・・・」
「ダメなことくらいみんなわかっているから、わざわざ言わなくても」
「代替案があるわけでもないから、おとなしくしておこう」
・・・みたいなことになっていないか?と危惧することがあります。
皆さんはどうでしょうか?
これは「足らずを知らず」の状態であると言えます。
当然、そのような状況は打破したいのですが・・・
『進撃の巨人』という漫画に出てくる、あるシーンです。
リヴァイ兵士長率いるチームは、ある重要な作戦を失敗してしまいます。
その作戦の要が主人公のエレンなのですが、その作戦はエレンにしか実行できず(能力的に)、
落ち込むエレンと代わりになれない皆には、微妙な空気が流れます。
反省の弁を述べるエレンに、リーダーであるリヴァイ兵士長は言います。

出典『進撃の巨人』【第53話】狼煙 より
「おかげで今日も空気がドブのように不味いな」
そして、「エレンは全力を尽くした」と庇う仲間に更に言います。

出典『進撃の巨人』【第53話】狼煙 より
「(全力を尽くしたことは)知っている。だからどうした?」
「頑張ったかどうかが何かに関係するのか?」
「不足を確認して現状を嘆くのは、大事な儀式だ」
流石、リヴァイ兵士長。
これは、リーダーのあるべき姿のひとつだと思うのです。
何かがうまくいかない(いっていない)時。
責任の所在を曖昧にし、お茶を濁し、場を取り繕うことは可能です。
ポジティブな要素に目を向けて、皆を鼓舞した方が空気的には良いかもしれません。
しかしそれでは、「足らずを知らず」なのです。
不足を確認し、しっかりと現状を嘆く。
そのプロセスを経るからこそ、対策も活きるのではないでしょうか。
このチームを見習い、気が進まなくても儀式と捉えて取組むべきです。
組織においては勿論、個人においても、です。
マイケルジャクソンの『Man In The Mirror』という歌があります。

飢餓や紛争、人種差別など様々な問題に対して、世界を良くするために、
まずは”鏡に映る男(=自分自身)”から変わろうぜ、というメッセージです。
Man In The Mirrorの歌詞より引用
I’m starting with the man in the mirror
I’m asking him to change his ways
And no message could have been any clearer
If you wanna make the world a better place
Take a look at yourself and then make a change
鏡の中の男から始めるんだ
彼に生き方を変えてほしいと願っている
これ以上に明確なメッセージはない
もし世界をより良くしたいなら
自分自身を見つめて、そして変えていこう
そんなデカい問題に対しても、まずは自分から変えていこう、と。
流石マイケル、イイこと言います(作詞は違う方らしいです)。
では、日々発生する問題や身近な課題はどうでしょうか?
流石に、原因は自分ですw
だれが解決するのか?
Man In The Mirror しかいませんよね。
不足している現状とその原因(自分自身)から目を背けないこと。
まずは、ここを肝に銘じて仕事に取組んでいく所存です。
以上、”鏡の中の男の法則”でした。
関連して、”窓と鏡の法則”もご参考下さい(タイトルか画像をクリック)

追記)
因みにリヴァイ兵士長は、ボロクソいいますが、
与してその真意を意訳してくれる仲間がいます。

出典『進撃の巨人』【第53話】狼煙 より
これは・・・、大事ですねぇ