良いチーム(組織)にはミスが多い
マーケティングにおける「オムツとビールの話」をご存知でしょうか。

ある小売店のPOSデータ分析により、
「夜にオムツとビールが一緒に購入されやすい」という相関を見つけたそうです。
そこで、オムツ売り場の近くにビールを置いたところ、売上が伸びたと。
その背景には、オムツを買ってきてと言われた父親達が、
ついでに自分達用のビールも衝動買いした、ということらしいです。
データの相関には、その因果をしっかりと把握する必要があるという教訓です。
そんな、少し意外で興味深い相関がありましたので、紹介します。
それは、チームの有能性とミスの数です。
書籍『恐れのない組織』(著:エイミー・C・エドモンソン)にて紹介されています。
著者は、医療現場におけるチームワークと医療の誤り率の調査を実施しました。

ビジネスシーンでもミスは推奨されるモノではありませんが、
医療現場においては尚更です。
当然、有能な(成果を上げている)チームの方が、ミスは少ないはずですが・・・。
同書には、以下のように書かれています(書籍『恐れのない組織』より引用、一部加筆修正)
ミスについてのデータとアンケート調査のデータがすべて集まった当初、私は胸を躍らせた。
統計の分析を始めたところ、別個に集められた誤り率とチームの有能さの程度との間に、
有意義な相関関係のあることがすぐにわかったのだ。
ところがその後、詳しく検討して、おかしなことに気がついた。
相関関係の方向が、予想と全く逆だ。
どうも有能なチームほど、そうではないチームに比べてミスを多くしているように思われる。
わけがわからなかった。
なんと、有能なチームの方がミスが多い、という結果だったのです。
失敗から学べとは言いますが、
医療現場におけるミスとなるとちょっとニュアンスが違います。
さて、この相関には、どういう因果があるのでしょうか?
エドモンソン教授は閃きます。
その後、わたしはハッとひらめいた。
有能なチームには率直に話す風土があって、
気軽にミスを報告したり話し合ったりできるのだとしたらどうだろう。
不意に私は思った。
優秀なチームは、ミスの数が多いのではなく、報告する数が多いのだ、と。
・・・なるほど。
失敗・ミスの数が他と比べて多いのではなく、
失敗・ミスを共有する必要性を認識している為、結果数が多くなる、と。
これが、因果関係です。
納得ではないでしょうか?
当然、目指すべきはこの組織(チーム)です。
SFA/CRMの中には、
クレームや自組織の失敗、顧客からの要望などが蓄積されていきます。
その数が少なければ少ないほど、
チームの有能性や顧客満足を反映していると言えるでしょうか?
あまりそれらの情報が挙がってこないことで、
管理者としては、安心してしまっていませんでしょうか?
ちょっと立ち止まってみましょう。
もしかして、
そのような情報(ミスやクレーム)が報告・共有しづらい環境になっていませんか?
もしかして、
そのような情報(要望含む)を顧客からもらえるような、
関係性や距離感が作れていない、なんてことになっていませんか?
「ミスとクレームが多いチーム(組織)」は、
ミスとクレームがしっかり報告・共有されているということです。
本当に良いチーム(組織)になるために必要なステップです。
改めて、この辺りの報告・共有を見直してみてはどうでしょうか?
関連して、顧客の声のマネジメントについては、下記をご参考下さい(タイトルか画像をクリック)
【▼顧客の声(VOC)を戦略的に活用するためのASRモデル】

追記)
因みに、オムツとビールの話は、創作であるという説も。。。
実際は、どうでしょうか?
僕が小売店なら、オムツを頼まれた父親には、
奥様に何か甘いモノでもついで買いしてもらうような動線にするか・・・
まぁ、奥様がお酒好きの可能性もあるので。
何事も、仮説を立ててやってみることが大事そうですね。