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顧客の声(VOC)を戦略的に活用するためのASRモデル

VOCとは「voice of customer」の略称で、

 

お客様の声や意見、見解に関する情報全般を指します。 

 

 

コールセンターに集まる商品やサービスについての意見、アンケートに対する回答、

 

営業パーソンが直接取得するクレームや要望などか、その対象とされています。

 

 

マーケティング及び経営活動全般において、

 

当然ながら、非常に重要な情報であるとされています。

 

 

僕はこれまで、

 

多数の企業様のCRM/SFAの構築及び運用をご支援してきました。

 

顧客の声(VOC)の重要性を認識していると共に、

 

活用していく上での大きな課題も痛感しています。。。

 

 


Index

・顧客の声(VOC)管理の変遷からみる戦略の必要性 

・グッドマンの法則からみる氷山の一角問題

・顧客の声をマネジメントするASRモデル 

・まとめ


 

 


▼顧客の声(VOC)管理の変遷からみる戦略の必要性 


 

まず、顧客の声(VOC)を管理するポイントの変遷やトレンドを整理してみると

 

下図の様になります(約20年周期位でのトレンドで整理)

 

 

 

▼カスタマーサティスファクション(1970年〜1990年)

 

そもそも「顧客の声(VOC)」という考えが重要視され始めたのは、

 

1970年頃と言われています。

 

大量生産・大量消費の時代を経て、

 

商品・製品にエコロジーの視点や品質管理が求められ始めました。

 

 

この時に、

 

カスタマーサティスファクション(顧客満足)という概念が注目されます。

 

 

商品・製品が選ばれた後、その品質に満足して貰えなければ、

 

顧客離反が発生してしまいます。

 

企業には、品質の管理を徹底することで、

 

顧客満足を担保することが求められました。

 

 

この際、顧客の声(VOC)は基本的には「クレーム」で、

 

その主たる管理者は、開発部門や品質部門でした。

 

 

▼ロイヤルカスタマー(1990年〜2010年)

 

この時代の最大のトピックスは、個人用・家庭用PCの普及です。

 

 

それに伴い、サポートデスク・サポートセンターが生まれました。

 

 

 

考えてみて頂きたいのですが、これまでは、

 

買ってから使い方に悩む(=誰かに聞かないとわからない)商品など

 

無かったのです。

 

それが、PCやモバイルは操作に悩むこともあれば、

 

契約内容もちょっとややこしい。

 

 

顧客の声(VOC)は、「クレーム」ではなく「相談・質問」になりました

 

 

必然的に、

 

その「相談・質問」への対応や品質が競争力・差別化要因になります。

 

 

購入後のサービス・サポートを包含して商品と認識され、

 

その品質を高めることによって、

 

ロイヤルカスタマーを創造することが可能になりました。

 

 

顧客の声(VOC)は、開発・品質管理部門から、

 

顧客接点を持つ部門への共有が求められるようになったのです。

 

 

CRM(Customer Relationship Management)が普及し出したのもこの時代です。

 

 

MailやWEBサイト、モバイル端末の普及に伴い、

 

顧客の声(VOC)を取得しやすい環境になったという点も、

 

大きな変化であると言えます。

 

 

▼カスタマーサクセス(2010年〜 )

 

クラウドやサブスクリプション型のサービスの普及に伴い、

 

カスタマーサクセスというコンセプトと共に

 

顧客との継続的な関係の構築は、

 

より重要度の高いミッションとなっています。

 

SNSの普及に伴い、

 

これまでは「顧客:企業=1:1」

 

だった顧客の声(VOC)は、

 

「顧客:世間=1:N」

 

になりました。

 

 

顧客の声(VOC)を発した当人への対応・解決がゴールではなく、

 

 ・同じように困っているかもしれない顧客

 ・今後、同じように困る可能性がある顧客

 

に向けて、疑問やトラブルに先回りした対応が求められています。

 

 

顧客の声(VOC)は、戦略及び意思決定に関わる部門が共有し、

 

戦略への活用が求められるようになっていると言えます。

 

 

 

テクノロジーの進化に伴い、

 

顧客の声(VOC)の入手難易度は下がり、

 

情報量として肥大しました。

 

 

その過程で、

 

一部の部門(担当者)で管理する情報から、

 

広く経営の意思決定に影響する情報に拡大している

 

と言えます。

 

 

 


▼グッドマンの法則からみる氷山の一角問題


 

グッドマンの法則をご存知でしょうか。

 

 

クレーム(苦情)処理と、

 

再購入決定率の間に相関関係があることを示し、

 

軽量化した法則のことをいいます。

 

 

ざっと下記のような感じです。

 

▼第一の法則

 不満を企業に伝えてくる顧客のうち、

 対応に満足した顧客の再購入決定率は申し立てなかった顧客に比べて高くなる

 

▼第二の法則

 ネガティブな体験はポジティブな経験の2〜4倍ネガティブな口コミを生むため悪い評判が拡散しやすい 

 

▼第三の法則

 企業が顧客に適切な情報提供をすることで、顧客との信頼関係が構築されポジティブな口コミが普及し、

 購買そして市場の拡大に貢献する

 

併せて、その根拠となった実際の調査データイメージが下記です。

 

※書籍「顧客体験の教科書」著ジョン・グッドマン_P97.トラブルの経験による影響を明らかにするCXの寸評から

 

クレーム(問合せ含む)に適切に対応することで再購入率は上がり、

 

クレーム(問合せ含む)に適切に対応できない場合、

 

ネガティブな口コミを高い頻度で生んでしまう・・・ということです。

 

 

なるほど、クレームへの対応はやっぱり大事なんだなぁ・・・と

 

 

ここで、ある問題が発生します。

 

 

顧客の声(VOC)とはクレームを指すのでしょうか?

 

 

違います。

 

 

それは、顧客の声(VOC)における、氷山の一角なのです。

 

 

クレームへの対応も勿論大事ですが、

 

我々は、

 

疑問/トラブルはあっても、申立てしていない顧客の声(VOC)を知ろうとするべきです。

 

購入後も疑問/トラブルなく、満足頂いている顧客の声(VOC)を知りたくありませんか

 

 

その様な顧客の声(VOC)は、残念ながら待っていても得られません。

 

 

能動的に収集する必要があるのです。

 

 

 


顧客の声をマネジメントするASRモデル 


 

顧客の声(VOC)をマネジメントする考え方を

 

収集(Accept)・共有(Share) ・反映(Reflect) 

 

の頭文字をとりASRモデルとして纏めています

 

 

 

 

各プロセスの詳細は割愛しますが、

 

一番のボトルネックは、

 

間違いなく「収集(Assept)✖️能動」の箇所です。

 

 

顧客の声(VOC)のマネジメントを実施している(していく)場合、

 

分類・整理のカテゴリーには、

 

「クレーム」だけでなく「要望」を必ず持たせて下さい

 

 

この「要望」がマネジメントできているかがポイントです。

 

 

ただし、

 

この「要望」を放っておいても教えてくれるのは一部の顧客だけですので、

 

こちらから能動的にアプローチして取得する必要があります。

 

 

 「このような機能が欲しい、というご要望はありませんか?」

 

 「もっとこういうことができたら・・・という理想像がありますか?」

 

 「他社のここは結構いいよ、という部分を教えて下さい!」

 

 

等々、こちらから顧客の声(VOC)を収集するアクションが必要です

 

 

また「要望」の収集量と成果は正の相関が期待できるので、

 

KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)への設定も推奨できます。 

 

 

顧客接触のタイミングでは、

 

「クレーム言われなかったから大丈夫」

 

ではなく

 

「もっとこうして欲しい」

 

という要望を、恐れず、積極的に収集する仕組みを作りましょう。

 

 

 


▼まとめ


 

僕が顧客の声(VOC)を活用していく上で、痛感している大きな課題は、

 

 

「要望という顧客の声(VOC)を能動的に収集していくこと」です。

 

 

 

顧客の声(VOC)をスピーディーに共有し、

 

データーべース化して、

 

修繕・改善に繋げていくことは、

 

CRM等のテクノロジーの活用である程度仕組化できます。

 

 

が、やはり

 

ASRのサイクルを回すための最初のインプット

 

がキモなのです。

 

 

僕自身も試行錯誤中ですので、

 

この辺りの知見も適時ご提供できればと思います。

 

是非、皆さんも

 

「顧客の声(VOC)を戦略的に活用する」

 

ことにトライしてみてください。

 

 

 

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