スポンジに倣う成長戦略
素直に吸収し、成長する様を”スポンジ”に喩えられることがあります。
漫画『宇宙兄弟』に出てくるあるシーンです。
月面で使用予定のローバーの操作方法を、
マニュアルもろくに見ないで習得する日々人に対して、同僚が言います。
出典:『宇宙兄弟』#46 芝刈り男と砂掛け男 より
スポンジのように吸収する力・吸収率は、
ビジネスシーンにおける人材の成長には不可欠です。
書籍『HIDDEN POTENTIAL 可能性の科学』(著;アダム・グラント)でも、
吸収する力の重要性を下記のように記載しています。
以下、書籍『HIDDEN POTENTIAL 可能性の科学』(著;アダム・グラント)より引用抜粋
吸収能力とは、新たな情報を認識し、評価し、消化し、応用する能力を指す。
この能力は、主に二つの傾向に左右される。
第一に、情報どのように捉えるかである。
視界に飛び込んでくる物事をそのまま受動的(リアクティブ)に受け入れるのか。
それとも能動的(プロアクティブ)に、新たな知識やスキル、見解を探し求めるか。
第二に、情報をふるい分ける際に、何を達成しようとするかである。
自己中心的に、情報によって自らのエゴを満たそうとするか(エゴ駆動型)。
あるいは、情報を自己の成長の糧としようとするか(成長志向型)。
最良の結果を出すのは、「能動的」かつ「成長志向」の人間である。
このタイプはまさに「スポンジ」である。
自らの可能性を広げ、環境に適応しようと常に積極的に行動する。
・・・なるほど。
能動的且つ、成長志向で吸収する人材が、スポンジ型であると。
心がけたいモノです。
ここで、スポンジについてもう少し深掘りしてみます。
スポンジを考えると、その性能は大きく3つの力で定義できます。
それは、
吸水力(インプット)、吐水力(アウトプット)、復元力(レジリエンス)、
の3つです。
そしてその3要素が、うまく循環できているかどうか?です。
人の成長にも当てはめながら、考えてみます。
▼吸水力(インプット)
まず吸水力とは、どれだけ・どのように、水を吸えるか?です。
ちゃんと水を吸ってくれないスポンジは使い物になりません。
そしてその吸水力は、多孔質構造によって生まれているそうです。
穴が大きければ水は入りやすくなりますが、保持はしにくくなります。
逆に穴が小さければ、保持はしやすくなりますが、吸水に時間がかかります。
重要なのはそのバランスと、
スポンジ全体に“満遍なく穴が存在しているかどうか”だそうです。
人の成長におけるインプットも同様です。
何かに特化することは大事ですが、
特定の分野だけを好み、他を拒むような姿勢では、穴に偏りのあるスポンジです。
一見吸水しているようで、その実、吸水力は低いのです。
視野と興味を広く、しなやかなインプットを心がけたいモノです。
▼吐水力(アウトプット)
次に吐水力とは、吸い込んだ水をどれだけ効率良く出せるか?です。
当たり前ですが、スポンジは吸うこと自体が目的ではなく、
拭き取りや洗浄に使われる以上、「出す力」が同じくらい重要です。
その際、スポンジ内部に水が残ると、渇きにくくなり、衛生的にもよくありません。
また、次の吸水に影響を及ぼしてしまいます。
そう考えるとポイントになるのは、”吐水し切れるかどうか”です。
人の成長におけるアウトプットも同様です。
インプットしたものをうまくアウトプットできないままにしてしまうと、
次のインプットにも悪い影響を及ぼします。
出し切ることで空白ができ、次のインプットの余白が生まれます。
また、アウトプットすることで、足りないインプットに気づくことも可能です。
一度学んだことは、しっかりと出力すること。
そしてその際に出し惜しみせず、しっかりと出し切ることも重要なのかもしれません。
▼復元力(レジリエンス)
最後の復元力とは、元の形に戻る力です。
スポンジは、強く握って薄くなっても、手を離せばすぐに元の厚みに戻ります。
元の形に戻ろうとする力が強いほど、復元力の高いスポンジになります。
この復元力が乏しいと、そのまま吸水力と吐水力の低下につながります。
そう考えると、吐水した後また吸水できる状態に”回復できるかどうか”
というタフさも、スポンジに求められる特性です。
人の成長におけるレジリエンスも同様です。
この場合のレジリエンスは、一般的な「挫折からの立ち直り」という文脈ではなく、
インプット→アウトプットで消耗したとしても、
次のインプットに向かえるように自己回復する力をイメージして下さい。
スポンジの形状記憶よろしく、
すぐに次のインプット体制を取れるかどうか?が継続的な成長には不可欠です。
以上の3つの力が、スポンジ型人材に求められる力です。
そしてこれらをうまく”循環”していきましょう。
インプットだけが強くても、アウトプットがなければ、知識は内部に滞留します。
アウトプットばかりしていても、新しいインプットがなければ、やがて枯渇します。
どれだけインプットとアウトプットを繰り返しても、
レジリエンスが弱ければ、すぐに疲弊し、成長のサイクルが止まってしまいます。
「乾いたスポンジのようだ」と喩えられることを目指してみましょう。
喩える側は、そこまでスポンジのことを気にしていないと思いますが・・・
追記)
冒頭の漫画『宇宙兄弟』では、スポンジのようだと喩えられる日々人は、
複雑な操作マニュアルを渡された際にこう言います。
出典:『宇宙兄弟』#46 芝刈り男と砂掛け男 より
「やった方が早い!」
時に成長するには、不安の中で一歩を踏み出す勇気も必要なようです。
こちらもご参考ください(タイトルか画像をクリック)





