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顧客の関心は営業の関心-ジャイアニズムの活用-

『アオアシ』というサッカー漫画に出てくる1シーンです。

以下、出典『アオアシ』第252話 スカウティングの先 より

 

 

敵チームを分析(スカウティング)して、その対策を一緒に考えよう!と、

 

提案する主人公(アシト)に、キャプテンの阿久津がアドバイスします。

 

 

 

 

「味方のスカウティングに費やせ」

 

 

 

 

当然、対策を練りたかった主人公は困惑するのですが・・・

 

 

 

 

相手(チームメイト)を知ることが自分を知らせる手段になり、

 

それが組織の力になると説きます。

 

 

 

これは、以前の投稿でご紹介した【トランザクティブ・メモリー】の一種です。

 

 

組織内の知の分布についてのメタ知として、

 

組織メンバーが“他のメンバーの誰が何を知っているのか”を知っていること

 

重要であるとする考えです。

 

 

詳細は【リカオンのくしゃみとトランザクティブ・メモリー】を参照(画像クリック)

 

 

 

この概念を、組織内だけではなく、

 

顧客と営業という関係性に変換して考えてます。

 

 

顧客と営業という関係性において、

 

トランザクティブ・メモリーを活用する、というイメージです。

 

 

 

何故なら、営業における理想的なポジショニングのひとつが、

 

“顧客から相談される存在になること”だからです。

 

 

顧客が課題を認識した際(又はその前)、

 

相談という形でお声掛け頂ければ、お役に立てる可能性が高まります。

 

 

商談プロセスにおける上流(川上)でコンタクトを取ることは、

 

営業成果を出す上で極めて重要なアクションであると言えます。

 

 

 

つまり提供できるサービス領域において、

 

顧客の認知作業の一部を営業が担いたいのです。

 

 

 

ある興味深い実験があります。

 

 

以下、スティーブンスローマンとフィリップファーンバック著

書籍書籍『知ってるつもり 無知の科学』より抜粋、一部加筆修正

 


 

トニ・ジュリア―ノとダニエル・ウェグナーがある実験を実施した。

 

交際期間が3ヵ月以上のカップルに、

 

コンピュータのブランドなど、さまざまな事柄を記憶してもらった。

 

同時にカップルには、それぞれの事柄について、

 

二人のうちどちらかが詳しいか評価してもらった。

 

(例えば、一人がコンピュータ・プログラマで、

 

パートナーがシェフなら、前者の方がコンピュータには詳しい)

 

その結果、カップルは記憶の任務を分担し、

 

相手に相手の詳しい分野の記憶を任せる傾向が明らかになった。

 

二人のうち、どちらかだけが詳しい事柄については、

 

詳しいとされたほうが記憶し、パートナーは忘れる傾向が見られた。

 

パートナーの得意分野については、記憶しようとする努力がおざなりになった。

 

言葉を換えれば、相手の詳しい分野については、

 

誰もが情報を記憶して思い出す役割を相手に委ねた。

 

人は特定のコミュニティにおいて、自分が覚えるべきことを覚え、

 

認知的分業に最大の貢献をしようとする傾向がある。

 

他のことを記憶するのは、その分野のエキスパートに任せる。

 

言語、記憶、関心をはじめ、

 

すべての認知的機能は認知的分業という原則に従い、

 

コミュニティ全体に分散しながら働いていると考えられる。

 


 

 

信頼できる関係性において、認知的機能は分業されるのです。

 

 

認知の一部を担いたい営業としては、

 

顧客にその分野のエキスパートであると認識してもらわなければなりません。

 

 

その為に、自社の優位性や差別化ポイントを訴求し、

 

自身の信用・信頼を積み重ねていくのですが、それだけでは足りません。

 

 

 

ポイントは、関心を共有すること、です。

 

 

 

以下、スティーブンスローマンとフィリップファーンバック著

書籍書籍『知ってるつもり 無知の科学』より抜粋、一部加筆修正

 


 

関心を共有することは、認知的作業を共有する集団、

 

すなわち知識のコミュニティに完全なメンバーとして参画するうえで、

 

きわめて重要な一歩だ。

 

関心を共有できれば、さらにすばらしいことが可能になる。

 

共通認識を共有できるのだ

 

他者が知っていることを、私たちも知っていることを知っている。

 

そして私たちが知っていることを他者が知っていることも知っている。

 

コミュニティの中で知識は単に分散しているだけではない。

 

共有されているのだ。

 

このように知識が共有されると、「志向性」を共有することができる。

 

つまり、ともに共通の目標を追求することができるようになる

 

他者と意図を共有し、ともに物事を成し遂げるのは、人間の基本的能力である。

 


 

 

 

関心の共有が共通認識を共有し、さらに志向性の共有に繋がります。

 

 

ともに共通の目標を追求するという関係性が形成されるということです。

 

 

営業の仕事は、顧客と課題解決という共通の目標をクリアすることです。

 

 

 

そう考えると、まずは顧客の関心を共有し、

 

その関心を共有していることを相手(顧客)に認識してもらうことが

 

極めて重要なアクションなのです。

 

 

 

営業が顧客のこと(関心)を知ると同時に、

 

顧客に営業が知ってくれていると知ってもらいたいのです。

 

 

 

 

 

 

「顧客の関心は、営業の関心」

 

 

 

というくらいのジャイアニズムを持って取組んでみるべきなのかもしれません。

 

 

 

追記)

 

Wikipediaでは、ジャイアニズムを下記の様に説明しています。

 

 

自らの所有物(占有物)については当然に自分の所有権を主張しつつ、

 

他者の所有物に対してさえも全く法的な根拠なしにその他者の所有権を否定し、

 

所有権が自分に属することを暴力的に主張するという、

 

極端に利己主義、独占主義的な思想を指す

 

 

小学生にしながら、ひとつの思想体系を残したジャイアンには畏怖の念を抱きます。。。

 

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