引き算が苦手な人間と、大きい羊の話
2021年5月9日(日)の日経新聞に興味深い記事がありました。
「人間は引き算の決断が苦手で、足し算にこだわる」
という説を米バージニア大学のチームが英科学誌ネイチャーに発表した、
という内容です。
以下、記事の一部から抜粋です。
いま、ベッドの4本ある脚のうち、3本が外れてしまった。
ベッドが傾き、寝心地が悪い。
さて、どうするか。
3本の脚を付け直そうと思ったあなたは、何かを見落としている。
「残った1本の脚も外す」という選択肢だ。
寝心地の改善なら、残る1本を取り除けばベッドは平らになる。
人間は「足し算」を意識し「引き算」を軽視する傾向がある・・・
とのことです。
どうやったら3本同時に外れんねん、という指摘は置いておき、
なんとなく言わんとしていることはわかります。
関連して、足し算に頼って解決しようとする主な例として、下記が挙がっていました。
・エッセーを改善するように頼まれると、多くの人は文書を長くした
・レシピを改善するように言われると、人々はより多くの材料を投入した
・旅程を整えるように頼まれると、多くの人は立ち寄る場所を追加した
これは、めちゃめちゃ共感しました・・・
例えば、思うような売上・受注が達成できていない時。
どうしても、施策・企画・商品を増やす!というような
「足し算」の選択肢に思考が集中します。
しかしながら、
・成果に繋がっていない施策をやめてみる
・成果に繋がっているフローをよりシンプルに再設計する
という「引き算」の選択肢も確かに必要です。
この「引き算」的な発想は、
「シンプルにする」というイメージがわかりやすいと思います。
偉人もこの「シンプルさ」については、色々と名言を残しています。
・賢者は複雑なことをシンプルに考える(ソクラテス)
・完璧とは、付け加えるものが何もないことではなく、取り除くものが何もないということである
(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)
・シンプルであることは究極の洗練だ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
特にデザインについては、「機能美※」という概念があるように、
シンプルであることと、成果・結果は繋がっているのだと思います。
※むだのない形態・構造を追求した結果、自然にあらわれる美しさ
関連して、「美」という漢字の成立ち(由来)について、です。
諸説あるらしいですが、「羊」+「大」の二文字で構成されていますよね。
羊が大きい事が、なぜ「美」なのか?
これは、周代の中国で羊は献物としての価値が高く、
家畜としても当然、大きい方が利用価値が高いということが語源らしいです。
つまり「美」という文字には、
「利便性が高いこと」がそもそも意味として含まれているということです。
結果が出ない時、上手くいかない時、
どうしても「足し算」の選択肢に思考が集中しがちです。
シンプルで(美しく)あることが、成果に直結するのであれば、
「引き算」の選択肢も是非検討してみましょう。
ということを、長文・駄文でシンプルに表現できないことをお詫び申し上げます。