手法の獲得が発想・アイデアを促す-業務フローの作成-
レオナルド・ダ・ヴィンチは、言わずと知れた万能の天才です。
ルネサンス期を代表する芸術家ですが、
絵画のみならず、幾多の発明を後世に伝えたとされています。
実は、ダ・ヴィンチだけでなく、
ミケランジェロやラファエロなど、ルネサンス時代に優れた創造性を放ち、
多様な発明や偉大な建築物を完成させた建築家やエンジニアの多くは、
画家だったそうです。
何故でしょうか?
太刀川英輔 著『進化思考』という書籍では、
この因果関係について当時に発明された“ある最先端の画法”に起因すると指摘しています。
それは、1425年頃、フィリッポ・ブルネレスキによって確立された“透視画法”です。
三次元空間を整合的に二次元の平面に再現する技法で、ざっくり言えば遠近法の部類です。
遠近法の理論自体は、以前から存在していたらしいのですが、
具体的に理論化されて、絵画に利用されたのがこの頃(ルネサンス期)だったそうです。
つまり、
新しい発明や斬新な建築物を実物の様に美しく描くスキルを持ち合わせ人達(画家)が、
実際に多くの発明や建築物を残した、ということらしいです。
もしかしたら、同じような(若しくはもっと良い)ことを、
頭の中でイメージできていた建築家やエンジニアもいたかもしれません。
しかし、それを具現化し、さらにそこから着想するような手段がなかったのです。
透視画法という手法の獲得が、発想・アイデアを促したと言えます。
日々のビジネスシーンにおいて、
斬新な発明迄は求められていないかもしれませんが、
生産性向上や業務改善は多くの組織で課題です。
では、生産性向上や業務改善に繋がる、発想・アイデアを促す為には、
どのような“手法”が必要でしょうか。
推奨したい手法のひとつが、“業務フローの作成”です。
業務フローとは、業務のプロセスを可視化する為に整理されたフロー図です。
生産性向上・業務改善に向けた発案の為には、
まずは現行の業務を可視化してみることが近道です。
以下、作成におけるポイントを纏めています。
(1)業務フローに使用する図形・記号
(2)業務フローを整理する際のポイント
(3)作成例:顧客/取引先からの電話対応の場合
(1)業務フローに使用する図形・記号
それぞれの図形・記号の意味と使用シーンを簡単にですが、纏めています。
厳密には、もっと種類があるのですが一般的にはこれくらいでOKです。
(2)業務フローを整理する際のポイント
いきなり清書する必要はなく、まずは荒くでいいので、プロセスを書き出します。
複数名で実施の場合は、アナログですがポストイット等利用するとやりやすいです。
それらをルールに沿って纏めてください。
・プロセスは時系列に、上から下に向かって並べます(左から右も可)
・複数の登場人物が発生する場合、列を分けて「誰の」アクションかわかるようにします
・並べたプロセス他を、矢印で繋いでいきます
・補足の説明を、別列で入れておくとわかりやすいです
・追って、それぞれのプロセスに課題や改善点をメモ書きしていくイメージです
(3)作成例:顧客/取引先からの電話対応の場合
一例で、顧客/取引先からの電話を営業担当者に繋ぐ、という、
どこにでもあるような業務をフローに落し込むとこうなります(この組織の場合)。
何となく、イメージわきますでしょうか。
ポイントは、途中発生する「判断」を明確にすることと、
記載の粒度をアクション単位で細かく設定することです。
どうでしょうか?
まずは何かしらの業務範囲を絞り、業務フローの作成を実施してみて下さい。
そのフローに対して
「あれ・・・?もっとこうした方が良くないか?」
というツッコみを入れていくことで、発想・アイデアが促されていくはずです。
作成・整理に関しては、お気軽にご相談下さい。
追記)
学生時代、美術(図工)の授業は好きでしたか?
僕は結構好きだったのですが、
上手に絵を描ける“手法”をもっと具体的に教えてほしかったという想いもあります。
『ブル―ピリオド』という漫画に出てくる一節です。
あるきっかけで、絵を描き始めた主人公が美術の先生にアドバイスを求めます。
そこで「遠近法」を教えてもらいます。
出典『ブル―ピリオド』1巻二筆目 有意義な時間 より
手法を取得することが目的ではないですが、
手法を知ることで意欲的になる、視野が広がる、は絶対にアリだと思います。
仕事においての、手法を可能な範囲で今後もご紹介できればと思います。
ということで、プレゼンにおける手法はこちらです。
宜しければ、併せてご参考下さい。