伝わるプレゼンの作り方-ダイヤモンド・モデル-
「起承転結をつくりなさい」
学生の頃、作文や感想文でその様に指導された方も多いかもしれません。
元々は、漢詩の構成法のひとつらしいので、
文章の構成として望ましいかどうかは様々な意見があるようです。
ビジネスシーンのプレゼンに限っては、起承転結は利用する必要性は低いと言えます。
単純に、起承転結をつくることが難しいという理由もありますが、目的が異なるからです。
プレゼンの展開が面白い(=起承転結がある)にこしたことはありませんが、
本来の目的は、こちらの主張を適切に理解してもらうことだからです。
そこで、起承転結ではなく、伝わるプレゼンの作り方について纏めてみます。
僕がこれまで色々と試行錯誤してきた結果、
ある程度この形(パターン)でいけるんじゃないか、という手順及び手法です。
プレゼンに限らず、スピーチや提案書、セミナーなどでも利用できると思います。
以下の手順、ポイントで説明していきます。
(1)論点の整理-why-what-how のフレームワーク-
(2)プレゼンの構成-ダイヤモンド・モデル-
(3)実践迄の準備-時間配分と練習方法-
(1)論点の整理-why-what-how のフレームワーク-
そもそも、このプレゼンはどのような主張をするのか?
論点を整理しておく必要があります。
そこで利用したいのが、why-what-how のフレームワーク です。
それぞれが、上下で繫がっている点がポイントです。
whyは、この主張が必要な背景、理由、経緯や状況です。
whatは、この主張の目的や主張それ自体です。
howは、具体的な手段やその主張を実現する為の方法です。
まずは、この三角形をノートに書きましょう。
例えば、あるシステム導入をプレゼンで提案したいとします。
ついついやりがちなのが、その機能性や活用方法を延々と訴求することです。
先のフレームワークでいうと、how の部分にあたります。
因みに、how を重点的に訴求することがダメということではありません。
how を訴求する為の論理的な展開、構成が必要なのです。
一度立ち止まって、whyとwhatを整理しましょう。
whatは、基本的には“目的”と考えてOKです。
howにあたる手段や方法は、その上位概念である目的、
つまり何かしらの実現したいことの為にあります。
この例だと、組織の業務生産性を上げること、が目的と言えるかもしれません。
whyは、更にその目的(what)の上位にあり、そもそもなぜそれが必要なのか?という、
背景や理由、経緯や現状を指します。
この例だと、人材不足、売上●●円を目指す為、●●分野への進出、としてみましょうか。
纏めると下記のようなイメージです。
重要なのは、一度このフレームワークで整理し、
しっかりと筋の通った(論理的に整合性のある)主張になっているかを確認することです。
訴求するべき論点をしっかりと押さえましょう。
何を訴求したいのか?が決まれば、次はその構成です。
(2)プレゼンの構成-ダイヤモンド・モデル-
数年前に出会った書籍です。
Kevin Carroll/Bob Elliott:著
『ビジネスは30秒で話せ!(短く、魅力的に伝えるプレゼンの技術)』(すばる舎)
この書籍で紹介されている、ダイヤモンド・モデルというフレームがあります。
これが、めちゃめちゃ使えます。
それまでは、
・序論、本論、結論、、、
・結論を先に述べてから、、、、
・マジックナンバー3の法則(何でも3つに纏める)、、、、
等々、ビジネスやプレゼンのセオリーを自分なりに組合せていたのですが、
ダイヤモンド・モデルを知ってからは、スッキリ解決です。
因みに、短いスピーチや長時間のセミナーでもこのモデルはちゃんと使えます。
ダイヤモンド・モデルの図解を下記にのせます。
※書籍『ビジネスは30秒で話せ!(短く、魅力的に伝えるプレゼンの技術)』より抜粋
各パーツの役割は、項目の名称そのままなのでわかりやすいと思います。
このモデルに、先述の「why-what-how」で整理した内容を当てはめていきましょう。
【注意を引く】の部分では、端的に「why」の説明をします。
このプレゼンを実施する理由や背景なので、
ここを最初にしっかりと共有しておき、その後の主張への流れをつくります。
【メイントピック】は、このプレゼンの主張であり、「what」の部分です。
ここが、言わば目的ですので、最後の方に出てくる【結論】と基本、同じでOKです。
そして、プレゼンで最もボリュームを占める部分が、【サブトピック】です。
ここが、「how」にあたります。
ポイントは、サブトピックは3つであることです。
単純に3つに整理できればそれでいいですし、
・過去、現在、未来
・顧客、自社、競合
・will(やりたいこと)、can(できること)、must(やらないといけないこと)
のように、フレームワークを利用してもキレイになります。
コツは、無理やりにでも3つに纏めることです。
2つしかなければ1つ追加するか、再度分解し、
4つ以上なら集約させるか、整理する切り口を変えましょう。
そしてこのモデルが秀逸なのが【アクションプラン】が最後にあることです。
プレゼンとして、こちらの主張をお伝えするということは、
最終的には相手方に何かしらの行動(アクション)を求めることです。
この「何をして欲しいか?」という行動要請をしっかりと組込みましょう。
ダイヤモンド・モデルに当てはめて、構成してみて下さい。
後は本番あるのみ、と言いたいところですが、
可能な範囲でシミレーションをしておきましょう。
(3)実践迄の準備-時間配分と練習方法-
一般的に、プレゼンの時間は事前に決まっていると思います。
時間配分を準備しておきましょう。
お薦めは、ダイヤモンド・モデルの構成パーツに合せて時間配分することです。
注意を引く~メイントピック迄で〇分、
サブトピック1で〇分、2で〇分、という感じです。
これは、正直かなり使えます。
例えば、30分のプレゼンを一度作ったとします。
ある時、時間を多めに取ったので、45分でお願いします、と言われました。
どうすればいいでしょうか?
サブトピックの3つに、それぞれ+5分すればよいのです。
エピソードや事例を追加し、少し詳細に説明する、という感じでしょうか。
つまり、全体の構成は変更せずに、各パーツの時間配分の増減をコントロールするのです。
これができれば、かなり柔軟に対応できるようになります。
そして、プレゼンを練習する場合も、全体を通して毎回練習するよりも、
各パーツごとに時間を図りつつ、、細切れにして練習しておくのです。
また、プレゼンやスピーチで、しっかり台本をつくる人もいると思います。
その時間と労力が割けるのであれば、やるにこしたことは無いです。
ひとつ助言するのであれば、その台本は「話し言葉」で書きましょう。
文章化すると、どうしても表現が硬くなったり、棒読み感が出がちです。
台本を話し言葉で書くことで、自分の言葉で伝えている感、
ライブ感、アドリブ感がちゃんと出ます。
ついつい固い説明口調になってしまう方は、試してみて下さい。
以上、伝わるプレゼンの作り方を纏めてみました。
プレゼンは、起承転結である必要はありません。
why-what-how のフレームワークで論点を整理し、
ダイヤモンド・モデルに沿って構成をつくり、
パーツごとに時間配分と文章化、練習をしておきましょう、
かなり、質を上げられるのではないかと思います。
現状利用しているプレゼンのフォーマットやスライド、レジュメがありますか?
この手順で、ちょっと見直してみては如何でしょうか。
なかなか具体的な事例が難しかったので、
「こういう内容でプレゼンしたい(している)んだけど・・・」
というものがあれば、是非お気軽にご相談下さい。
僭越ながら、進言させて頂きます。
追記)
プラスアルファとして、たとえ等を上手く使えるとプレゼンの質が上がります。
そちらの考え方については、下記をご参考下さい。