説明するスキル-具体と抽象と例えと喩え-
うまい棒が値上がりします(2022年4月〜)。
これまでの1本10円から、12円になります。
1979年の発売依頼初の価格変更らしいですが、
うまい棒=10円の認知度の高さに改めて驚かされます。
ふと、子供の頃を思い出したのですが、
何でも「うまい棒X本」に“たとえる“奴がいませんでしたでしょうか。
※特定の年代からは、あるあるではないかと思います
「そのシャーペン(シャープペンシル)何円やった?」
「えーと、100円」
「え!うまい棒10本買えるやん!」
「(それがどうしてん・・・)」
という感じのやり取りを何度となくした記憶があります。
子供心に、うまい棒にいちいち変換する意味がわかリませんでしたが、
今考えるとその友人にとって、
うまい棒1本が10円の費用対効果(コストパフォーマンス)として
非常に高かったことが推測されます。
つまり、100円の価値を伝える(説明する)上で、
「シャーペン1本に交換できるモノ」よりも、
「うまい棒10本に交換できるモノ」の方が、
(この友人にとっては)より価値があると思ってもらえる、ということです。
この伝え方(説明の仕方)を、“たとえ方“として考えてみます。
“たとえ“は、漢字で書くと“例え“か“喩え“です。
“例え“とは、例を出すことでコミュニケーションを促進しようとする、
具体化の思考です。
“喩え“とは、「つまり●●である」のように一言で表すことで
コミュニケーションを促進しようとする、抽象化の思考です。
ざっくり纏めると、以下のようなイメージでしょうか。
「あなたの話は具体的なのでわかりにくい。もっと抽象的に話して下さい」
有名な数学者の吉田耕作氏が、
ある数学者の発表を聞いて、言い放った言葉らしいです。
一般的には、非常に違和感のある言葉です。
僕たちは、何かを分かりやすく説明しようとする時、
どうしても詳しく・具体的にすることに偏りがちですが、
抽象化することも同様に重要なのです。
では、抽象的な説明が唯一の正解かと言うと、そう言うわけでもありません。
大切なのは、具体化→抽象化→具体化という思考モデルに沿うことです。
具体化と抽象化、例えと喩えをうまく使うことで価値の伝わり方が変わります。
スターバックスを誰かに説明すると思って下さい。
スターバックスは、何屋さんでしょうか。
売り物は、コーヒーやフードです。
・豆に拘っていて、、、
・季節限定の商品が豊富で、、、
・デザート的なドリンクも美味しくて、、、
というのが、具体的な説明です。
これでも、ある程度スターバックスのことは説明できますが、
どこかで抽象化してみます。
スターバックスのコンセプトは、サードプレイス(第3の場所)の提供です。
家庭(第1)でも職場・学校(第2)でもない、
“第3の場所で過ごしてもらう体験“が売り物です。
日常を少し忘れた(離れた)空間と時間で過ごす機会こそが、提供価値なのです。
なので、顧客がより快適にサードプレイスを体験できるように、
空間や商品・サービス、接客を含めたコミュニケーションが設計されています。
ここで更に、具体化します。
サードプレイスというコンセプト(抽象化)をベースにした上で
・リラックスして飲むコーヒー、、
・友人、恋人とのお喋り、、
・考え事をするにも最適かも?
というように、イメージしてもらったらどうでしょうか。
抽象化のプロセスを経ることで、より価値が伝わる説明となり得ます。
具体化→抽象化→具体化、という思考プロセス・アプローチを
日々のコミュニケーションやセールスに活用していきたいのです。
サービス(商品)を説明するシーンのイメージでいうと、
「当社のサービスは、○○と□□が特徴です」(具体化)
「例えば、△△や▽▽でお役に立てます」(具体化)
「つまり、●●のようなモノだとお考え下さい」(抽象化)
「ですので、■■や▲▲でもお役立て頂けます」(具体化)
というような感じでしょうか。
具体化に必要なのは、情報量と知識です。
事例のストックをしていくことや、
掘下げる説明の仕方はイメージしやすいのではないでしょうか。
キーとなるのは、具体的事象を抽象化するプロセスです。
「つまり、●●ということ」
「いわば、●●みたいなもの」
といった、抽象化・コンセプト化に是非トライしてみて下さい。
個人的に秀逸だと思っているコンセプト(抽象化)は、
アップル(ジョブズ)が打ち出した“パソコンは脳の自転車“です。
詳細は、下記よりご確認下さい。(画像クリック)
追記)
うまい棒が1本12円になると、冒頭の会話が変わってきます。
「そのシャーペン(シャープペンシル)何円やった?」
「えーと、100円」
「え!うまい棒8と3分の1本買えるやん!」
「12の公倍数で考えるから、300円=シャーペン3本でうまい棒25本か」
という感じで、うまい棒値上げ以降の年代から、計算力が向上した!
とは、ならないですね・・・・