何を分母にするのか?‐顧客のために!の注意点-
いきなりですが、クイズです。
毎月22日は、何の日でしょうか?
ポイントは、〇月22日ではなく、毎月22日です。
ヒントは、カレンダーをよく見てみましょう。
答えは「ショートケーキの日」です。
カレンダーを見ると、22日の上は、常に15日です。
15、つまり“イチゴ”が乗っているので、ショートケーキの日だそうです。
・・・気持ちはわかります。
僕も別に、たいして面白い話だとも思いません(考えた人、すみません)
しかし、ビジネスにも通じる重要なヒントが含まれています。
それは、その対象の価値を決めるには、誰にとっての?という“分母”がカギだということです。
この場合、分子(対象)をイチゴだとします。
分母(誰にとっての)が「果物」だとすれば、数多ある果物の中のイチゴです。
イチゴ好きは別ですが、それ程際立った存在にはなりません。
分母(誰にとっての)が「ショートケーキ」だとすれば、その存在が際立ちます。
何となくイメージつきますでしょうか。
この“分母を何にするか”を拘って考えてみましょう。
ビジネスにおけるセオリーとしては、分母に「顧客」を置くことです。
何かしらの出来事、提案、商品を「顧客にとっての〇〇」として考える必要があります。
分母に顧客を置く理由のひとつが、顧客価値を考える際のある注意点です。
それは「顧客のために」という発想をしてはいけない、ということです。
セブンイレブンの立上げとトップを歴任した、鈴木敏文氏の有名な言葉です。
“お客様のために”ではなく、“お客様の立場で”考えろ
お客様のために、とは一見素晴らしい経営姿勢です。
しかし実際は、お客様のためという免罪符を売手の目線で使ってしまいがちだというのです。
要は、分母が売手になってしまっているのです。
分母を顧客にするには、お客様の立場で考える、という切り口が重要だという指摘です。
有名な例が2つ程あるので、紹介します。
ある年末、イトーヨーカ堂でおせち用の黒豆を販売していた際です。
量を多めにしたパック詰めで、割安の値段をつけて売っていたそうです。
お得に買い物して頂きたい、という正にお客様のためにという発想です。
しかし、売れ行きはよくありません。
そこで、量り売りにしてみたところ、売上は何倍にも伸びたそうです。
少子高齢化が進み、一世帯あたりの人数が減る中で、
まとめ売り(買い)は顧客のニーズに合致していなかったというのです。
お客様の立場で考えることによって、得たアイデアでした。
もうひとつの例です。
ある店舗で、衣料品の20%オフセールを実施しました。
お得に買い物して頂きたい、という正にお客様のためにという発想です。
しかし、売れ行きはよくありません。
そこで、不要になった衣料品をお持ち頂ければ、現金下取りで20%オフ!
という販促に切替えたところ、一気に売上が伸びたそうです。
お客様の立場からすると、財布の紐を緩める正当な理由が欲しかったのです。
単に20%オフだから、と散財するのではなく、
不要なモノが片付けられ、エコでもあり、結果お得に買い物ができる、という納得感。
これもお客様の立場で考えることによって、得たアイデアでした。
気を付けないといけないのは、
「お客様のために」と考えることは、基本的には良いことだからです。
しかし、その背景には業界の常識や自身の成功体験・バイアス、
「お客様のために」といいつつ、売手が分母の発想になっていないか?に注意しましょう。
分母に顧客を置いて、発想してみる。
お客様の為に、ではなく、お客様の立場で。
如何でしょうか。
因みに、少し違った視点で“誰かのために”という発想の注意点です。
こちらも是非ご参考ください。
追記)
22日がショートケーキの日なら、
もし、ひと月が36日以上あれば、36日は牛丼の日にでもなっていたのかな・・・?
と考えることは、誰のためにもなりません。
牛丼屋さんの立場に立たなくてもわかります。