アブダクションの活用-その事実に驚きたい-
ビジネスシーンにおいて、限られた情報から、
正しいであろう意思決定をすることは極めて重要です。
※未読の方は、タイトルか画像をクリック
所謂、推論において、
ビジネスパーソンとして是非身に付けておきたい思考法のひとつが“アブダクション”です。
聞き馴染みのないワードかもしれませんが、
演繹法・帰納法と並ぶ、第三の推論法として提唱されています(※)
※チャールズ・サンダース・パース(米国の哲学者)によって
位置付けとしては、下図のようになります。
※書籍『アブダクション 仮説と発見の論理』(米盛裕二著)より
アブダンクションは、モノゴトの発見や、新たな気づきを得る際に適した推論です。
ざっくり言ってしまうと、仮説をつくる、ということです。
「A(出来事・理由)➡️B(結果・現象)」という関係性で説明します。
我々が目にするのは、まず「B」という結果であり現象です。
それらを発見した際に、
その背景には「A」という出来事・理由があるのではないか?と考えることができます。
この”A➡️”の可能性を閃めくことが、アブダクションです。
その事実(結果・現象=B)がなぜ起こったのか(A➡️)について説明を与える、
”説明仮説”を形成する推論がアブダクションである、と言われています。
ビジネスシーンで少し考えてみましょう。
お客様から、ある商品のお問合せを頂いたとします。
お話を伺う中で、
「あれ?なんでこの機能について詳しく聞かれるのかな・・・」
「もしかして、〇〇という検討背景がおありなのでは??」
と考えることができます。
これが、お客様の言動・行動を説明できる仮説を立てる、ということです。
この思考ができれば、
「もしかして、〇〇でお悩みですか?」
「〇〇が懸念であれば、〇〇という方法もあります」
というように、
本質的なニーズへのアプローチや阻害要因に対しての先回りが可能になります。
なんとなくイメージ頂けますでしょうか。
では、どうすればアブダクションを会得・活用することができるのか。
アブダクションの例として、
しばしばニュートンの万有引力発見のエピソードが用いられます。
そこにヒントがありましたので、ご紹介します。
以下、書籍『アブダクション 仮説と発見の論理』(米盛裕二著)より引用、加筆修正
ニュートンの思索の非凡なところは、まず林檎が落ちるという事実に対するかれの「驚き」にあります。
「林檎は何故いつも垂直に、地球の中心に向かって落ちるのか」という、
ニュートンの驚きと懸念そのものが、かれの独創的な洞察力と想像力によるものです。
勿論、ニュートン以前の人々も林檎が落ちるのを見てきているし、
物体は支えられていない時には落下するということは、誰もが知っています。
しかし、彼らにとっては、林檎が落ちるという事実は、何ら意外な出来事ではなく、
「驚くべき事実」ではなかったのです。
しかし、ニュートンにとっては、「驚くべき事実」でした。
この事実を説明する為に、ニュートンは頭の中で考えた。
物体の中には引力が働いていて、それが地球の中心に集中しているのでなければならない。
そして、一つの物体が他の物体を引くとしたら、その引力の大きさには比例関係がなくてはならない。
つまり地球が林檎を引いているとしたら、同様に林檎も地球を引いている、と考えなくてはならない。
これが、「驚くべき事実」を説明する為にニュートンが考え出した「説明仮説」です。
このニュートンの思索が普通の帰納的推論と違う点は明らかでしょう。
ニュートンは、事実をあれこれ観察し、その観察事実を集めて整理し、
分析し、一般化することによって、万有引力の原理を発見しているのではありません。
そもそも「林檎は何故いつも垂直に、地球の中心に向かって落ちるのか」という
驚きと問いがなければ、ニュートンの思索と探求ははじまりませんでした。
つまり、優れた洞察力や想像力、熟練した推論の技術も必要ではありますが、
最初に必要なのは、「驚くべき事実」です。
発見される結果・事象(行動・言動)に、「あれ?」と疑問を持つことです。
その事実に、驚けるかどうか?です。
どうやらそれが、
アブダクションを会得・活用する為の原点であり、原動力なようです。
日々の仕事から、疑問を探し、驚くべき事実を見つけていきましょう。
では、どうすればそもそもの「疑問」を持てるのか???
という話になると思いますので・・・
詳しくは、下記もご参考下さい。(タイトルか画像をクリック)
追記)
アインシュタインのコトバだそうです。
”経験をいくら集めても理論は生まれない”
理論の素材となるのは、帰納的に蓄積される情報であり経験ですが、
最後はそこにハッとした気づき、閃きこそが求めれます。
それが、アブダクションです。
経験をコツコツ貯めるのではなく、手っ取り早く身につく方法ですか?
・・・閃きませんね。。。驚くほどに。
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