成長機会は設計できる
マジシャンズ・セレクト、という手品の技法があります。
観客に自由に選んでもらっているように見せながら、
実はマジシャンがあらかじめ意図した結果にたどり着くよう、
選択の流れを設計している技法です。
たとえば、複数のカードの中から一枚を選んでもらう場面があります。
観客は「自分で選んだ」と感じています。
しかし実際には、
どれを選んでも最終的にマジシャンが望むカードにたどり着くように、
言葉のかけ方や進め方が設計されているそうです。
マジシャン、恐るべしです。
ここで重要なのは、
相手には自分で選んだという感覚を持ってもらいながら、
こちらに望ましい行動が生まれやすい環境をつくっている
という部分です。
なんというか、「使えそう」な感じがしませんでしょうか?
もちろん、人を騙したり、悪用したりしようという話ではありません。
事例を探していると、スポーツ指導において、
この理論が活用されている好例がありましたので紹介します。
サッカー界のスター三笘薫選手も所属していた、
筑波大蹴球部監督の小井土監督の書籍には、以下のように書かれています。
以下、書籍『教えるを手放す』(著:小井土 正亮)より引用抜粋、一部加筆修正
指導者が「ああしろ」「こうするといいぞ」と指示する代わりに、
「選手が特定のプレーを選択せざるを得ない状況(課題)」をデザインします。
たとえば、攻撃の崩しの形を教えたいとき、あえて特定のエリアやタッチ数を制限したメニューを設定します。
すると選手たちは、その制限のなかでうまくプレーするために試行錯誤し、
結果として指導者が意図していた「セオリー通りの崩し」を自分たちで「発見」します。
サッカーでは、それぞれの局面を解決するにあたってのプレーのセオリーがあります。
そのセオリーを最初からセオリーとして「形」を教えるのではなく、
自分で「発見」し、成功する機会をどれだけ体験させられるか。
自分たちで見つけ、解決できると、大きな達成感と自信を得ます。
やらされた練習ではなく、自分たちでつかみ取った正解だからです。
その難易度や頻度の設定が指導者の腕の見せ所です。
・・・なるほど、まさにマジシャンズ・セレクト!
引用:『ラストイニング』第57話 鳩ヶ谷イラ立つ!?より
攻撃のセオリーを教え込むことの方が、一見近道な気がします。
もちろん、形を教え込むこと自体が悪いわけではありませんが、
本人が自分で発見したという感覚を持てるかどうかが、
自律的な成長やモチベーションの維持には重要なのだ、と。
深いですね・・・。
ビジネスシーン、皆さんの環境で何かしら応用はできそうでしょうか?
一例として、弊社が研修等で実施している取組みをご紹介します。
マジシャンズ・セレクト、というほどではないのですが・・・
ワークショップ形式で、
何かしらチームごとで協議・発表するシーンをイメージして下さい。
発表者以外の参加者には、
「是非、積極的な意見・感想をお願いします」と促します。
が、得てして「よかったです」程度の無難な感想に終始しがちです。
それだと勿体ないですよね。
他者の考えも自分ごととして主体的に捉え、学びを深めて欲しいのです。
そこで、下記のようにアナウンスします。
「他チームの発表に対して、必ず Good / More / Next の3点で感想を述べて下さい」
すみませんがルールなんで、無理矢理にでも絞り出して下さい、と。
Goodとは、よかったところです。
否定から入らないので、心理的にも出しやすい、という利点もあります。
Moreとは、もっと良くできるところです。
「悪いところ」ではなく「伸びしろ」と言うニュアンスで、指摘をしやすくします。
Next とは、次にどう実行するか、です。
自分なら次にどう動くか(動かすか)を考えることで、実行力を強化したいのです。
どうでしょうか?
各発表に対して、講師の評価・フィードバックを聞くことも大事ですが、
このような機会を設計することで、参加者はただ聞くだけでなく、
自分で考え、改善点を見つけ、次の行動まで言語化することになります。
成長機会の意図的な設計を試みてみましょう。
皆さんの環境では、どのような機会が創れそうでしょうか?
正解は・・・、自分で掴み取った方がいいらしいので。
追記)
成長機会を創ってもらえるに越したことはないのですが、
自らその機会を創るということも、また重要です。
営業パーソンに関わらず、是非下記もご参考下さい(タイトルか画像をクリック)
キーワードは「アウトプットする場を持つこと」です。





