変われないのは免疫のせい?
花粉症をはじめ、アレルギー疾患に悩まされている方も多いかもしれません。
原因は、免疫にあります。
僕も素人考えで、免疫が弱いのだと思っていたんですが、どうやら違うようです。
免疫はその言葉の通り、
体が病から免れるために、生まれながらにもっている仕組みです。
免疫の役割とは、
基本的に体の外にある有害な異物、ウイルスや細菌などから身を守ることです。
ところが、花粉、埃、食物など、確かに異物には違いないけれども、
本来はそこまで害のない異物に対して、免疫が過剰に反応してしまうことがあります。
それが、アレルギー疾患だそうです。
免疫が、本来守る必要のないものにまで反応してしまっている状態、
という感じでしょうか。
同じようなことが、僕たち個人や組織の意思決定でも発生しています。
それが、「変革を阻む免疫機能」という考え方です。
ハーバード大学院教授のロバート・キーガン氏によって提唱されている概念で、
詳しくは書籍『なぜ人と組織は変われないのか』(著:ロバート・キーガン、リサ・ラスコウ・レイヒー)
を参考にされてください。
読み応えのある本で、内容も面白いです。
変革を阻む免疫機能(変化への免疫)を端的に説明すると、
本人や組織が本気で望んでいる変化に対して、
無意識のうちにそれと競合する目標が働き、
結果として現状を維持してしまう仕組み、
という感じです。
人や組織に、本気で変わりたいという気持ちがあったとしても、
その裏側では、変わることで失うものを避けたい気持ちもあり、
それが作用して変化を止めている、ということらしいのです。
まさに、良かれと思って体を守ろうとする「免疫」に例えられる所以です。
具体例で考えてみます。
ある人が、
「会議でもっと自分の意見を言えるようになりたい」
と望んだとします。
黙っているだけじゃなく、議論に参加したいと。
素晴らしい心がけですよね。
これを「改善目標」と呼びます。
ただ実際には、思ったことがあってもなかなか発言できず、
他の人の反応を気にしてしまったり、
結局、会議後に「あれを言えばよかった」と後悔するような状態・・・。
なかなか現実は思った通りには行動できません。
これを「阻害行動」と呼びます。
なぜそのような阻害行動が引き起こされているかというと、
決して本人の意思が弱いからではなく、「裏の目標」が関係しています。
裏の目標とは、表向きの改善目標とは別に、
その人が無意識に守ろうとしている目標のことです。
・的外れなことを言って恥をかきたくない
・空気を乱したり、反論されて傷つきたくない
・浅い人だと思われたくない
これらの裏の目標を守ろうとするが故に、変化を抑えているのです。
つまり本人は、本気で発言したい、変わりたいと思っていても、
同時に発言することによって、
傷つくことや評価が下がることを避けたいとも思っているのです。
それが免疫として反応し、結果として現状維持になっていると。
厄介なのは、この場合の現状維持への反応は間違っているわけではなく、
むしろ裏の目標を実現する上では、至極正しい働きをしていることです。
人体と同じく、免疫自体が悪いわけではないんですよね。
なんとなく、イメージできますでしょうか?
では、どうすれば「変化への免疫」を乗り越えることができるのでしょうか?
免疫自体が悪者ではない限り、反応を無理やり抑え込むのではなく、
「反応の仕方を変える」ことが必要そうです。
アレルギーへの対処でも、アレルゲン免疫療法というものがあるそうです。
これは、原因となるアレルゲンを少量ずつ体に入れて、
体を慣らし、症状を和らげていく治療方法です。
もちろん、人体の治療と人や組織の変化をそのまま同一視することはできませんが、
比喩として考えるなら、過剰に反応している対象に少しずつ触れ、
反応の仕方を変えていくという点は示唆的です。
先の例、会議でもっと発言したい、でいうと、
ここには「強力な固定観念」というものが隠れています。
たとえば、
・会議では、整理された意見を言わなければならない
・中途半端な発言をすると、評価が下がる
・反論されることは、自分が間違っている証拠である
というような固定観念です。
この固定観念があることで、
本人にとって発言しないこと、
つまり変わらないことが合理的な行動になっているのです。
見直すべきは、この「強力な固定観念」です。
ただし、強力な固定観念をいきなりひっくり返すことは難しいかもしれません。
そもそも、それまで自分を守ってきた前提でもあるからです。
だから、まずは少しずつ新しい前提を仮置きしてみます。
たとえば、
・会議では、参加者の率直な反応が求められている
・整理されていない意見こそ、議論の種となり得る
・他の人の発言を促し、場が活性化するかもしれない
というようなイメージでしょうか。
そして、その前提にもとづいた反応は・・・、
これまでと違ったものになりそうではないでしょうか?
同書では、この「変化への免疫」を免疫マップとして整理し、
見える化することを推奨しています。
先の例で言えば、こんな感じです。
皆さん自身や組織で、思ったような変化ができていない事案があれば、
まずは免疫マップで整理してみるといいかもしれません。
面倒くさくてやりたくないって?
その免疫マップをつくることが先かもですね・・・。
追記)
変化を阻む免疫機能という考え方は、
人の意思決定における前提、つまり固定観念の重要さを改めて教えてくれます。
ひとつ、気をつけておかないといけないのが、
人(自分も他人も)は、弱いということです・・・
ここも、組織の意思決定には重要な切り口になりそうです。
詳しくは下記もご参考ください(タイトルか画像をクリック)





