商談の質を高める3つの要素-定義し、疑い、俯瞰する-
早速ですが、問題です。
リンゴは何個あるでしょう?
即答したいところですが、実はそれが危険だという話です。
僕達が世の中で直面する問題は、予め答えが用意されているテストではありません。
つまり、問い(問題)自体が正しいとは限らないのです。
これ(リンゴは何個)は、数を数える算数の問題ではなく、
問いをどのように解釈するのか?という国語の問題だと思って下さい。
営業とは、顧客の問題・課題の解決が大切な仕事です。
質問・相談をされれば、自信満々に即答したいものです。
ただし、質の高い商談(提案・回答)をする為には、次の3つのポイントを抑える必要があります。
(1)前提条件・定義を合わせる
リンゴ“1個”をどう定義するか?ということです。
1個=1玉で考えると、2と1/2個ですが、
カットされた状態を相手がイメージしていたら話が違います。
また、真赤なリンゴは何個?おいしそうなリンゴは何個?
と聞かれたどうでしょうか。
・どれくらい赤ければ、真赤となるのか
・何をもって、おいしそうと判断するのか
という尺度を合わせなければ、正確に回答ができません。
このようなことが、実際の商談ではよく発生します。
案件、競合、問題、の様に一般的に使われる用語も、定義を相手と合わせましょう。
高い、安い、難しい、簡単、早い、遅い、の様な形容詞も要注意です。
相手とあなたの基準が異なるなら、合わせる必要があります。
まずは、相手がその問いをどう定義しているのか?
回答するにあたっての前提条件をしっかり共有しましょう。
(2)建設的に疑う
次に、与えられてる情報が正しいのかどうか?を疑う必要があります。
これは、相手が嘘をついているかどうか、という話ではありません。
相手も気づいていない可能性があるから、ややこしいのです。
例えば、先のリンゴです。
一番後ろにあるリンゴは、1玉ですか?
この情報だけでは、確信が持てません。。。
半分にカットされているかもしれませんし、一部だけ欠けているかもしれません。
回答する為に必要な情報が足りない場合は、臆せずに聞きましょう。
相手も気づいていない(盲点)かもしれません。
・ここの確認もいりませんか?
・こういう考え方もできませんか?
という、新しい視点・視座を提供することも営業の役割なのです。
不足する情報を補完するべく、建設的に疑いましょう。
(3)全体を俯瞰する
最後に、相手と自分の一連のやり取り及び状況を俯瞰しましょう。
イメージは、サッカー中継の様にピッチ(試合状況)を上空から捉える感じです。
出典:『アオアシ』6巻 第55話 EAGLE EYE③ より
僕達には、どうしても“確証バイアス”が存在します。
確証バイアスとは、
自分の考えや仮説に沿うような情報のみを集め、仮説に反するような情報は無視する傾向
のことです。
前提条件や定義、不足する情報の補完も、
ついつい自分の仮説に沿って都合よく進めてしまいがちです。
仮説を持つことはめちゃめちゃ大事なのですが、それに引張られ過ぎては良くないのです。
相手の立場・視点に立てとよく言われますが、お薦めは、
相手と自分を含めた空間(商談の場)を俯瞰するイメージを持って進めることです。
時に自分の主張も客観的に捉え、最適なアプローチを図りましょう。
営業とは、何かしらの「説得」を行う仕事です。
しかし、自分が「納得」できていない限り、相手を「説得」などできません。
定義し、疑い、俯瞰することで、自分の回答(提案)に納得しましょう。
そして「納得」の基準を高く持つことが、提供できる価値及び営業スキルの向上に繋がると思っています。
追記)
俯瞰についてのサッカーでの例えの件です。
※以下、出典:『アオアシ』6巻 第55話 EAGLE EYE③ より
この漫画も面白いのでおススメです。
サッカー中継を見ていると、
つい「そこが空いてる!」「パスだせよ!」と言いがちです。
恥ずかしながら。。。
そんな時は、偉そうにそんなことを言っている自分を俯瞰することで抑制できます。
俯瞰って大事です。