傘を持っていく思考プロセスを追え
子供は3歳頃から噓がつけるようになると言われています。
“つけるようになる”と表現しているのは、
空想や願望を言語化できるようになることは、ある種の成長だからです。
そして、もう少し歳を重ねると、噓のクオリティが上がります。
突拍子もないことを言うのではなく、辻褄を合せられるようなります。
つまり、自分の発言に対して
“論理的な整合性”を持たせられるようになるということです。
僕は子供の嘘や言い訳は、ある程度仕方が無いと思っていますが、
そこに論理的な矛盾や整合性が著しく欠けている場合は注意します。
「嘘をつくなら、ちゃんとつきなさい」と。
辻褄は合わせて欲しいのです。
ビジネスにおいての嘘は、当然にダメですが、
この“論理的整合性がとれているかどうか”という視点は、
特に営業におけるマネジメントにおいて非常に有効ですので解説します。
チームのメンバーから、報告を受けているシーンをイメージして下さい。
Aさん「〇〇なので、□□します」
という発言(報告)に対して、
あなた「え?なんでそうなるの?」
と感じる時がありませんか?
〇〇である、という状況に対して、
□□をする、という施策(回答)に納得ができないという時です。
この際、
あなた「いや、△△しなさい」
とやってしまってはダメなのです。
行動を指示することは、対象の行動が一時的に是正されますが、
本人の思考プロセスに変化を与えるわけではありません。
その場しのぎにはなりますが、
今後も同様の判断が繰り返されると想定できます。
是正すべきは、なぜそう判断したのか?という思考プロセスです。
ここをしっかりと見える化し、改善を図る必要があります。
そこでお試し頂きたい、ひとつの方法です。
空・雨・傘のフレームワークをご存じでしょうか。
論理的思考の整理に利用されるフレームワークですが、これが使えます。
空=事実認識
雨=状況解釈
傘=行動・提案
をそれぞれ表しています。
「空を見たら雲が多く空が暗かった」という事実に対して、
「あと数時間後には雨が降りそうだ」という状況解釈をします。
なので「傘を持って出かけよう」という行動が選択されます。
それぞれが、So what?(だからなに)で繫がっていることがわかります。
この様に、論理的にちゃんと繋がったうえで決定された
最終的な行動(傘を持っていくこと)は、至極当然の結果と感じられます。
因みに、逆から、Why So?(なぜ)でも繋がっています。
ここに矛盾(=納得できない違和感)があると、
論理的な整合性が乏しいということです。
この違和感に対して、深堀しましょう。
状況解釈が適切になされているか?
状況に対する行動・提案として最適と言えるか?
を是非チェックしてみて下さい。
営業シーンで考えてみます。
営業シーンでの事実認識とは、顧客の「反応」です。
営業パーソンが何をしたか?(=アクション)以上に、
顧客がどのようなリアクションをしているのか?を把握して下さい。
営業シーンでの状況解釈とは、営業パーソンの「推察」です。
顧客の反応という事実をどう解釈しているのかが知りたいのです。
このまま進みそうですか?
何かネック・懸念材料があると推察していますか?
営業パーソンがどう考えているのか?を把握して下さい。
営業シーンでの行動・提案とは、上記を踏まえての「次回予定」です。
それで、いつまでに何をどうするのか?を把握して下さい。
上記を把握する為に一番手っ取り早い方法は、
そもそもの報告形式を空・雨・傘のフレームワークに落し込むことです。
空・雨・傘のフレームワークに沿って、
「反応」「推察」「次回予定」を報告に組込みましょう。
SFA/CRM、週報などもフォーマットを調整できるならば、
是非設定してみて下さい。
僕の経験上、この形式での情報共有が習慣化できれば、
チームメンバーからの報告や説明のわかりやすさが確実に上がります。
ひいては顧客への提案・プレゼンの質も向上し、一石二鳥です。
どうせ情報共有(報告)するなら、質にも拘りましょう。
傘を持っていくと決めた思考プロセスを見える化したいのです。
追記)
営業として、どのような状況解釈(推察)をしたのか?
そして、どのような行動をするのか(次回予定)?
が主たるマネジメントのポイントになるのですが、
その為には事実認識(反応)が一定水準以上でなされる必要があります。
営業プロセス上非常に重要なタスクですが、
この顧客の反応は待っているだけではなかなか取得できません。
そこで、OODA(ウーダ)ループを是非併せてご参考、ご活用下さい。