1%が持つ力-点滴が石を穿つ確率-
「成功には2つのコツがある。それは“コツコツ”だ」
イエローハットの創業者、鍵山秀三郎氏の言葉です。
小さな努力の継続と蓄積が成功の一因であることは、広く知られた事実です。
この小さな努力を“1%”と仮定し、3つの観点からその力を考えてみます。
(1)積もった塵はどんな山になる?(1%の継続)
→毎日1%の改善を継続したら、1年後にはどうなる?
(2)点滴はいつ石を穿つのか?(1%の成功確率)
→成功率1%の挑戦は、何回目の挑戦で成功するのか?
(3)腐ったリンゴの法則は本当か?(1%の影響力)
→プラス1%とマイナス1%が争ったら、どちらが勝つのか?
(1)積もった塵はどんな山になる?(1%の継続)
“塵も積もれば山となる”
ごくわずかのものでも、数多く積もり重なれば高大なものとなることのたとえです。
では、具体的にどれくらい大きな山になるのでしょうか?
最初の状態(今日)を「1」とし、「1%」積上げられたとします。
そうすると、1×1.01=1.01 となります。
翌日、更に「1%」積上げられると、1.01×1.01=1.0201 となります。
これを365日継続すると、1.01の365乗で、37.78・・・、
つまり1日1%の積上げは、1年で約38倍になります。
(2)点滴はいつ石を穿つのか?(1%の成功確率)
“点滴石を穿つ”
雨垂れのような小さな水滴でも、
長い間同じところに落ちつづければ、ついには堅い石をも溶かすことから、
小さな努力でも、根気良く続けていれば成果が得られることのたとえです。
では、具体的にいつごろ石を穿つ(努力が結実する)のでしょうか。
成功確率が「1%」しかないことに挑戦するとします。
失敗確率は「99%」です。
挑戦していない状態は、成功しない確率100%なので、
(最初の状態100%)×(失敗確率99%)=99% となり、
当然ですが、99%で失敗します。
しかし2回目は、1回目の失敗を経ているので、
(1回目後の失敗確率99%)×(失敗確率99%)=98.01% となります。
少しですが、成功の確率が上がりました(失敗の確率が下がった)。
そして3回目は、
(2回目後の失敗確率98%)×(失敗確率99%)=97% となります。
これを繰返していくと、
40回目には、成功確率33%で3分の1を越え、
69回目には、成功確率50%で2分の1を越えます。
そして、459回目では、成功確率99%(失敗確率1%)と逆転します。
(3)腐ったリンゴの法則は本当か?(1%の影響力)
“1個の腐ったリンゴで樽全体が駄目になる”
(One bad apple spoils the barrel)
集団内における、腐敗した人、または、邪悪な人からの悪影響を指すメタファーです。
金八先生的には、腐ったミカンですが、意味は一緒です。
リンゴの腐敗が周囲に及ぼす影響は科学的根拠があるそうです。
組織論で考えてもいいですが、自分自身の感情や強み/弱みに置換えてもいいです。
では、腐ったリンゴには、どれくらい影響力があるのでしょうか。
フラットな状態を100%とし、
仮に「1%」だけマイナス(ネガティブ)な状態に陥ったとします。
(フラットな100%)×(マイナス後の99%)=99% となり、
当然ですが1%マイナスの良くない状態になります。
ここで仮に「1%のプラスの状態」と「1%のマイナスの状態」が混在したとします。
101%(+1%)×99%(-1%)=99.99 となります。
マイナス(ネガティブ)の方に振られるのです。
残念ながら、同じ割合ではマイナスの要素の方が強くなってしまう様です。
腐ったリンゴの影響を回避するには、
マイナス以上のプラスで対応しなければなりません。
以上、「1%」の持つ力について、纏めてみました。
少しタネ証しをすると、どれも足し算ではなく掛け算です。
1%分を増やして(足して)いくのではなく、
1%ずつアップデート(掛けて)いくイメージでしょうか。
コツコツ取組む場合にも、
今日という日は
自分史上で最も経験を積んでいる成熟した状態であると同時に、
残りの人生で最も若い(未熟)状態である、
というマインドセットが必要そうです。
Today is the first day of the rest of your life.
(今日という日は、残りの人生の最初の日である)
-チャールズ・ディードリッヒ
1%の力を信じ、前進していきたいものです。
追記)
そして、その「1%」が価値を持てるかどうかは、
そこに拘って、本気で取組めているかどうか、がやはり重要だと思います。