褒めて伸ばしてホームランは打てるのか
“褒めて伸ばす”というコトバは、ビジネスシーンでも完全に市民権を得たと感じます。
元々は、子育てで使われ始めたコトバだと思いますが、
部下育成やマネジメントでの利用も、現在は特に違和感はありません。
では、「ヒトは褒めることで伸びる」は、本当でしょうか?
これは、本当です。
エンハンシング効果(賞賛効果)という心理現象なのですが、
その基となったある実験について、下記に紹介します。
▼エンハンシング効果(賞賛効果)とは
相手に対して賞賛の言葉をかけることで相手のやる気が高まり、
良い結果や成績を残しやすくなる心理現象。
アメリカの発達心理学者エリザベス・B・ハーロックによって、
1925年のある実験によって証明された。
<エリザベス・B・ハーロックの実験>
小学生を3つのグループにわけて、それぞれ算数のテストを5回行う中で、
各回テスト終了後、答案返却時の態度をそれぞれのグループで変化させてみた。
A:結果にかかわらず、できていた部分を褒める
B:結果にかかわらず、できていない部分を叱る
C:結果にかかわらず、何も言わない
結果はどうなったかというと、
A:最終的に71%の生徒の成績が向上
B:2日目は20%の生徒の成績が向上したが、次第に成績が低下
C:2日目は5%の生徒の成績が向上したが、その後は変化なし
・・・なるほど。
やはり褒めることは、効果的なようですね。
「じゃあ、早速褒めて成長に繋げるぞ!!」
と意気込むのは、ちょっとお待ちください。
皆さんの(部下の)仕事は、算数のテストのように単純でしょうか?
褒めるという行為は、基本的にはその行動の、承認・賞賛・推奨です。
つまり、今のやり方・方法で、より量を増やしたい場合には、非常に有効です。
仕事で考えてみましょう。
1日5件の営業訪問を褒めれば、活動量は増えるかもしれません。
クレームの迅速な報告を褒めれば、次もちゃんと早く報告してくれそうです。
朝早く出社してコツコツ取組む姿勢を褒めれば、長続きも期待できます。
それはそれで、非常に意味があることです。
しっかりと成果に繋がることもあるでしょう。
ただ、
仕事のやり方が間違っている場合はどうですか?
もっと改善の余地がある場合は?
量ではなく、質を求めないといけない場合は?
何かしらの“変化“を求める場合、褒めるだけでは足りない点は要注意です。
“バレルゾーン“をご存知でしょうか。
野球用語で、最も長打(ホームラン)が出やすい打球角度と打球速度のことです。
具体的には、角度26〜30度、速度98マイル(約158キロ)だそうです。
つまり、ホームランを打とうを思ったら、
素振り・筋トレをして、速い打球を打つことも大事なのですが、
それと同じ位に、打球の角度をつけることが必要なのです。
この角度が理想的でないと、いくら強く速い打球が打てても、
ヒットにこそなれ、ホームランにはならないのです。
仕事も一緒です。
いくら努力して、活動量・投入量を増やしても、
努力の方向性が間違っていては、思うような成果につながりません。
努力の量を増やすには、褒めるというマネジメントは非常に有効そうです。
では、努力の方向性(やり方・取組方・考え方)を正すには?
当然、褒める以外のアプローチも必要です。
マネージャー各位は、是非その辺りも改めて再認識頂ければと思います。
ただ、量が質を作る(=努力の量が、努力の方向性を正す)という
側面があることも、また事実だと思います。
詳しくは、下記もご参考ください(画像かタイトルをクリック)
追記)
「僕(私)は、褒められて伸びるタイプなので」
と自己申告する人もいるそうで。
先にご説明の通り、人間心理の一種なので、全員そうです。
当たり前です。
わざわざ言わなくていいです。
・・・なんてことを、部下(後輩)に言わないように。
気をつけましょう。
<オンラインセミナー(無料)開催中!お気軽にご参加下さい>
→ 詳しい日程や詳細は、こちらから(若しくは画像をクリック)