営業における解釈を育てたい
同じ本を二人の人間が読むとすると、
そこで読まれるものは、決して同じではありません。
それぞれが、本のなかに自分を連れ込むからです。
〜書籍『エンデと語る』(子安 美智子 著)より引用
書籍『モモ』などで有名な児童作家、ミヒャエル・エンデの言葉です。
非常に考えさせられる指摘ではないでしょうか?
物理的には同じ書籍だとしても、読み手によって解釈も異なれば、
そこから得られる価値や感じ方も異なるということです。
そう考えると、それは本当に同じ本ですか?という・・・
・・・なるほどです。
この、
事実・出来事としては同じでも解釈によってアウトプットが異なる
という事象は、ビジネスシーンにおいても、同じことが言えます。
特に営業シーンにおいては、相手(顧客)あってのことなので、それが顕著です。
商談(顧客と折衝)シーンをイメージしてみてください。
営業が一生懸命プレゼンしたのち、顧客がいいます。
「検討しますね」
これを
「確実に前進したぞ!」と捉えるのか、
「程のいい断り文句だな」と捉えるのか、
はたまた、
「え?どういうこと?」と混乱に陥るのか・・・
これは、営業がその文脈をどう解釈したか?によります。
同じ「検討しますね」という一言でも、
その前後の流れや、顧客の表情、質問の内容、検討段階によって、
その意味合いは大きく変わります。
この「どう解釈するか」がスキルであり、
センスであるといってしまうとそれまでなのですが、
営業におけるマネジメントの問題は、
しばしばこの解釈の違いによって起こります。
マネジャーは、営業報告に事実を求めます。
「お客様は、なんて発言したのか?」
「どういう反応だったのか?」
しかし実際には、それらの報告には営業の解釈が含まれています。
営業に求められるスキルは、
顧客の発言や反応を、その文脈ごと捉えることです。
そして、自分がどう理解(解釈)したか?を説明できることです。
では、この「解釈の違い」をどうすり合わせていけばよいのでしょうか。
ひとつ有効なのが、同行です。
引用:漫画『HUNTER×HUNTER』より
・・・はい、わかります。
面倒くさいですよね。
ちなみに、どっちもですよ。
同行する側も、される側も、ですw
単純に工数が2倍になるので、効率も良くありません。
ご提案としては、そんな中でも折角同行するなら、
その機会を最大限に活かしましょう、ということです。
同行される側(担当)にとっては、
「へぇー、そんなふうに説明するんだ」
「顧客からの質問への回答がわかりやすかったな」
という感じの学びも確かに重要です。
が、大切なのは、その商談の状況・背景・文脈をどう解釈したから、
その発言・アクションを選択したのか?を共有することです。
「なぜ、あの順番で説明したんですか」
「顧客の質問に対して、なぜあれを確認したんですか」
というような疑問・質問が出るといいですね。
同行する側(上司や先輩)からは、
「もっと具体的にヒアリングしないと」
「あの質問に対してあの回答だとダメだな」
という具体的な指導・指摘以上に、
担当者がなぜその選択をしたのか?という解釈の部分を理解してあげて下さい。
「どういう意図があって、あそこでヒアリングを切り上げたの?」
「顧客はあの質問で、何を知りたいと思った?」
というようなイメージで。
是非、同行マネジメントを活用して下さい。
1点、重要なことがあります。
それは、同行者(上司や先輩)の解釈が唯一の正解ではない、ということです。
なぜなら営業活動は、
そのアクションを取る営業のパーソナリティやキャラクターも、
大いに関係するからです。
明らかに事実を間違って解釈しているなら是正すべきですが、
その営業パーソンが感じたこと、思ったこと、
解釈を理解し、尊重した上で、アドバイスしたいものです。
同じ商談に同席しても、そこで見えているものは人によって異なります。
だからこそ同行後には、
「何が起きたか」だけでなく、「それをどう見たのか」を共有する必要があります。
同行とは、上司の正解を伝える場ではなく、
担当者の見立て・解釈を言語化し、磨いていく場です。
せっかく二人分の時間を使うのであれば、
単なる同席で終わらせず、商談の“読み方”を共有し、育てる時間にしたいものです。
本の読み方同様、人によって違いもありますが、
それぞれの”読み方”も組織にとって、価値ある視点のはずです。
追記)
同行を単なる指導の場と捉えないことが重要かもしれません。
是非、下記のように捉えて頂くと、効果が出る・・・かも?





