引き算が苦手な人間と、大きい羊の話
2021年5月9日(日)の日経新聞に興味深い記事がありました。
![](https://emp-consul.com/wp-content/uploads/06_01-2-300x200.jpg)
「人間は引き算の決断が苦手で、足し算にこだわる」
という説を米バージニア大学のチームが英科学誌ネイチャーに発表した、
という内容です。
以下、記事の一部から抜粋です。
いま、ベッドの4本ある脚のうち、3本が外れてしまった。
ベッドが傾き、寝心地が悪い。
さて、どうするか。
3本の脚を付け直そうと思ったあなたは、何かを見落としている。
「残った1本の脚も外す」という選択肢だ。
寝心地の改善なら、残る1本を取り除けばベッドは平らになる。
人間は「足し算」を意識し「引き算」を軽視する傾向がある・・・
とのことです。
どうやったら3本同時に外れんねん、という指摘は置いておき、
なんとなく言わんとしていることはわかります。
関連して、足し算に頼って解決しようとする主な例として、下記が挙がっていました。
・エッセーを改善するように頼まれると、多くの人は文書を長くした
・レシピを改善するように言われると、人々はより多くの材料を投入した
・旅程を整えるように頼まれると、多くの人は立ち寄る場所を追加した
これは、めちゃめちゃ共感しました・・・
例えば、思うような売上・受注が達成できていない時。
どうしても、施策・企画・商品を増やす!というような
「足し算」の選択肢に思考が集中します。
しかしながら、
・成果に繋がっていない施策をやめてみる
・成果に繋がっているフローをよりシンプルに再設計する
という「引き算」の選択肢も確かに必要です。
この「引き算」的な発想は、
「シンプルにする」というイメージがわかりやすいと思います。
偉人もこの「シンプルさ」については、色々と名言を残しています。
・賢者は複雑なことをシンプルに考える(ソクラテス)
・完璧とは、付け加えるものが何もないことではなく、取り除くものが何もないということである
(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)
・シンプルであることは究極の洗練だ(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
特にデザインについては、「機能美※」という概念があるように、
シンプルであることと、成果・結果は繋がっているのだと思います。
※むだのない形態・構造を追求した結果、自然にあらわれる美しさ
関連して、「美」という漢字の成立ち(由来)について、です。
諸説あるらしいですが、「羊」+「大」の二文字で構成されていますよね。
羊が大きい事が、なぜ「美」なのか?
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これは、周代の中国で羊は献物としての価値が高く、
家畜としても当然、大きい方が利用価値が高いということが語源らしいです。
つまり「美」という文字には、
「利便性が高いこと」がそもそも意味として含まれているということです。
結果が出ない時、上手くいかない時、
どうしても「足し算」の選択肢に思考が集中しがちです。
シンプルで(美しく)あることが、成果に直結するのであれば、
「引き算」の選択肢も是非検討してみましょう。
ということを、長文・駄文でシンプルに表現できないことをお詫び申し上げます。