営業における知識の幅−軸が高さを創る−
積木を高く積み上げるには、土台(底辺)の積木を増やし、
三角の形にして積み上げていくことが一つの方法であると紹介しました。
→詳細はこちら【知識の幅とそれを繋げるスキル‐まわり道の可能性‐】
営業という仕事をケースに、具体的に考えてみます。
積木による高さを、営業における付加価値(提案)だとします。
商品知識があれば、一定の高さまでは届きますが、やがて限界が来ます。
提案において、土台(底辺)を広げる軸は何でしょうか。
それは、顧客軸と競合軸です。
顧客軸は、顧客の個別事情や検討背景、業界に関する知識です。
これまでの商談で共通していた顧客の課題やお悩み、
同業他社の事例などをイメージしみてて下さい。
競合軸は、競合他社を含めて代替手段全般に関する知識だと考えて下さい。
同様の商品・製品・サービスを提供する競合先に関する知識は必要ですが、
その目的を達成する為の代替手段(方法)についても知っていると、尚良いです。
因みに、商品軸での提案・アプローチを軽視するわけではありません。
むしろ商品軸の説明こそ、実際はめちゃめちゃ大事です。
自社の商品をイマイチ理解していない営業パーソンが、
ガッカリされることは容易に想像できると思いますが、
世の中の営業活動は、商品の説明だけでも売れることが多々あります。
なぜでしょうか?
それは、商品軸での提案だとしても、
・顧客軸=それが、自分(自社)にとってどうか?
・競合軸=それが、他の代替手段と比べてどうか?
を顧客側が考えてくれて、検討を進めているからです。
それに頼らず、営業から軸を広げて提案の付加価値を高めることに意味があります。
顧客軸(顧客知識)、競合軸(競合知識)があるからこそ、商品軸(商品知識)が活きるのです。
例を出してみます。あるお薦めしたいビジネス書があるとします。
商品軸で提案すると、
・この本は、●●についてわかり易く纏めていて〜
・●●ページで価格は■■円です
という感じでしょうか。
商品としての機能・特性・スペックの説明になります。
これだと限界があるので、軸を増やします。
例えば顧客軸を広げると、
・●●さんが■■の仕事をされているなら特に参考になります
・●●が課題であれば、■■の部分を試してみて下さい
という感じです。
更に競合軸を広げると、
・近い本はあるのですが、●●がわかりやすいのはこれですね
・オーディオブックや動画もありますが、●●を見直すことも多いので、書籍がいいですよ
というイメージでしょうか。
なんとなく、商品軸での説明よりも総合的な提案の質が上がっていませんでしょうか。
必須の軸は、顧客軸と競合軸ですがこの軸(切り口)をどんどん増やしましょう。
僕は心理学やスポーツ、マンガも結構好きなので、よく例にしたり引用で使います。
このように、皆さんの得意なことや好きなこと、趣味であれば
知識も豊富だと思いますので、それらを軸に利用していきましょう。
軸が増えるに越したことはなく、ピラミッドのように積上がって行くことが理想です。
そして、幅の広さによっては、完全にチート化できるのが営業軸です。
つまり、結局それを提案しているのは誰なのか?という、
「誰(=自分自身)」を強化するということです。
先のお薦めの本があるという例でも
「この人に言われたら、あまり考えずに購入してしまうな・・・」
と思い浮かぶ人がいませんか?身近な人でも著名人でも。
何を言うか以上に、誰が言うかが重視されるケースもあるということです。
その辺りのポイントは、下記にも纏めているので、宜しければご確認下さい。
→詳細はこちら【アンカリング―提案営業におけるプロセス強化のカギ―】
最後に、イチローの言葉(名言)です。
言葉とは『何を言うか』ではなく『誰が言うか』に尽きる。
その『誰が』に値する生き方をしたい。
追記)
この格好良すぎるイチローの言葉は、数年前の日経新聞内のあるインタビュー記事なのですが、
先の文章の前にこんな一文があります。
「偉人の言葉を引用する方がいるが、あれはダサいと思う・・・」
しっかりと引用してしまいましたww
イチローに言われたら、ぐうの音も出ないです・・・