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巨人の肩の乗り方-コレクティブ・ラーニング-

“巨人の肩の上に乗る(立つ)”という言葉があります。

 

 

 

先人の積み重ねた発見や知見に基づいて何かを発見することを指す表現で、

 

僕達は過去の膨大な知識の積み上げ(=巨人の肩)の恩恵を受けて、

 

思考・生活していることを教えてくれます。

 

 

物理学者アイザック・ニュートンの

 

「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからです」

 

という一節が有名ですが、ニュートンのオリジナルというわけではないそうです。

 

 

 

関連して、“コレクティブ・ラーニング”という言葉をご存じでしょうか。

 

 

酒井穣著『リーダーシップ進化論』の説明が分かりやすいので、以下書籍より抜粋します

 

※400P位あり読み応えのある書籍ですが、非常に面白いのでおススメです

 

 

 


 

コレクティブ・ラーニングは、日本語では集団的学習と呼ばれています。

 

では、集団が学習するとは、一体どういうことだろう。

 

他の動物の場合、個々の個体が得た知識は、その個体だけのものになりやすい。

 

例えば、ある谷間で、ライオンの待ち伏せを見破ったシカがいたとする。

 

そのシカは、他のシカに対して

 

「あそこの谷間には、ライオンが隠れているから、近づかないほうがいいよ」

 

と言語で伝えることはできない。

 

他の動物の場合、言語がそれほど発達していないからだ。

 

このため、人間ではない動物の場合、個体が得た知識は集団内で(ほとんど)共有されない。

 

すなわち、人間ではない動物の集団は、学習しない。

 

(集団的学習が起こらないだけで、個体は学習する)

 

これに対して、人間の場合は、

 

ある個体の知識は、高度に発達した言語によって組織内で伝達される

 

世代をも超えていくことが多い。

 

時間とともに、こうした知識が組織内で無制限に蓄積されていく。

 

シカの場合は、肉食獣の待ち伏せを察知できる感覚器(センサー)を、

 

自然淘汰によって進化させる必要がある。

 

しかし人間の場合、そうした特別な感覚器などなくても

 

危険な場所であることが言語によって、伝えられるだけで十分だ。

 

 

人間は、コレクティブ・ラーニングによって、生存と繁殖を獲得できる

 

 

コレクティブ・ラーニングが進む環境の整備は、リーダーに期待される重要な役割だ。

 

暗黙知が形式知になりにくい環境では、知識が個人のみに蓄積されてしまう。

 

それでは知識が共有されないし、知識創造スパイラルも回転しない。

 

いつまでも同じ石器に頼るような、イノベーションが起こらない組織になってしまう。

 

これを回避するには、組織の構成員が利他性に基づいて、

 

お互いの経験を教え合える学習環境が必要となる。

 


 

 

 

皆さんの営業組織は、コレクティブ・ラーニングできていますでしょうか。

 

 

営業支援システム(SFA/CRM)導入目的のひとつとして、

 

営業組織のノウハウ・ナレッジの共有がよく挙がります。

 

 

一般的には営業ノウハウは属人化しやすく、ナレッジとして組織に還元されない為です。

 

 

営業支援システム(SFA)があれば、組織の構成員の営業データベースが蓄積されます。

 

 

また最近では、AIを利用して類似性の高いケースや参考事例をピックアップしてくれます。

 

 

それはそれで便利で活用すべきなのですが、それだけでは不十分です。

 

 

 

営業組織のコレクティブ・ラーニングを進める上で、

 

絶対に省かない方が良いプロセス(手間)があります。

 

 

 

それは、自身の営業スキル・ノウハウを“言語化”することです。

 

 

補足すると、上手くいった理由を他の人に説明できるようにすること、です。

 

 

 

 

 

 

このケースでは、●●を考慮して■■を▲▲した・・・という具体例の積み重ねが、

 

「〇〇をした方がよい」「××に気を付ける」という形に集約されていきます。

 

 

個人に蓄積された暗黙知も、人に説明しようとすることで形式知化されていきます。

 

 

僕はこの作業を「名前を付けてスキルにする」という言い方をよくするのですが、

 

詳細は下記より是非ご確認下さい。

 

▼コツを掴む−量から質と鏡を見ることと−

 

 

皆さんの営業組織にもノウハウ・ナレッジが集積しているはずです。

 

 

肩に乗れるような、イケてる巨人を創りましょう。

 

 

 

追記)

 

前述の酒井穣著『リーダーシップ進化論』によると、

 

カラスが「危険人物」を覚えているだけでなく、

 

その「危険人物」を仲間や子孫にも伝えてることを示した調査があるそうです。

 

 

少なくともカラスの一種は、コレクティブ・ラーニングしています・・・。

 

 

宮崎県の辛島生息の野生の猿が、海水で芋を洗う文化を持っていることも同様で、

 

コレクティブ・ラーニングの結果らしいです。

 

 

どうやっているんでしょうか・・・?

 

 

カラスとサルに聞いてみたいです。

 

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