流れを創る-ミツバチダンスとリンゲルマン効果-
“ミツバチのダンス”をご存じでしょうか。
いつ習ったのか記憶が曖昧なのですが、
ミツバチが仲間に蜜や花粉、水源や新しい巣の予定地を知らせる為に
8の字に動く(ダンスを踊る)ことでそれを伝える、というモノです。
太陽に対する8の字ダンスの中心軸との確度が方向を示し、
尻を揺する時間が距離を示している、というよく考えられた情報伝達方法です。
賢いですねぇ、ミツバチ。
自分がダンスをするミツバチだと想像して下さい。
あそこに良い蜜があるぞ!と意気込んで踊り出すのですが、
「あれ・・?いつまで踊ればいいの?」
となりませんでしょうか。
巣には山ほど仲間がいるわけで、
組織的な行動にしようと思えば結構な耐久ダンスとなりそうです・・・。
しかし一説によると、ダンスを見るミツバチは、群れの5%程度らしいです。
それなのに他のミツバチも正確に目的にたどり着きます。
なぜでしょうか。
率先して飛ぶ方向を決めているのは、ダンスを見た5%のミツバチですが、
それ以外のミツバチは流れに沿って飛べばちゃんと目的にたどり着くのです。
つまり、ミツバチの場合は全体の5%にちゃんと伝われば、
このプロジェクトは成功できるのです。
組織・チームを動かすうえでは、一定数のメンバーが行動を起こすことで
この様な「流れ」を意識して創ることが重要です。
「流れ」は、勢い・風土・空気と思ってもらえれば良いです。
SFA/CRMの導入に限らず、営業部門の改善・改革は、組織的な成果が目的です。
全員参加や組織的な底上げ、足並みを揃えることが重要視されますが、
足並みは“結果的に”揃うのです。
まずは、主体的なメンバーが率先して流れを創ることを優先して下さい。
そして、流れを創ることが期待されるプロジェクトメンバーには、
自分自身で思っている以上に主体的・能動的な参画意識が求められることを
覚えておく必要があります。
何故なら我々には、リンゲルマン効果があるからです。
▼リンゲルマン効果とは(Wikipediaより加筆修正)
グループのサイズが大きくなるにつれて、
グループの個々のメンバーの生産性がますます低下する傾向。
フランスの農業技術者マクシミリアンリンゲルマンによって発見された効果。
グループのサイズと、タスクの完了に対するグループメンバーの
個々の貢献の大きさの間に存在する逆の関係(反比例)を示している。
リンゲルマン効果の有名な例が、綱引きの実験です。
自分一人だけでロープを引っ張る場合と、
複数人でロープを引っ張る場合での、個々の引っ張る力を測定しました。
すると、自分一人だけの場合を100%とすると、
人数が増えるにつれて各自が発揮する力が減少した、というのです。
この実験では、8人で測定した場合は、
一人当たりの力は50%以下に迄減少したとされています。
理屈では8人で取組んだ場合は、各自の100%×8人の力を期待しますが、
現実はそうはなりません。
これは、無意識下も含めて(そこが厄介なのですが)、
「自分以外の誰かがやってくれるだろう」
という傍観者心理が働いてしまっているからだと、考えられています。
同じような例として、検品や試験の採点などで、
ミスを防ぐために「トリプルチェック」を導入したら、
「ダブルチェック」の時と比べて同等か、逆に品質が下がるケースもあるそうです。
所謂、「社会的手抜き」と呼ばれるような現象です。
プロジェクトメンバー各位、十分に気を付けましょう。
リンゲルマン効果に注意しつつ、意識して主体的な取組をお願いします。
方向性を示す(ダンスを踊る)だけでは、組織は動けません。
その意図を理解し、主体期に行動に移せる一部のメンバーの力にかかっています。
流れを創りましょう。
追記)
ムーブメントは一人(ダンスを踊るミツバチ)だけでは、創れません。
5%のミツバチと関連して、セカンドペンギン理論も同じメッセージです。
詳細は、下記から確認お願いします。(画像をクリック)