ペンの売り方と共創する価値(H2H)
「・・・・私にペンを売れ」
レオナルド・ディカプリオ主演の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』という映画に出てくる1シーンです。
※以下、ネタバレ含みます
レオナルド・ディカプリオ演じる主人公のジョーダン・ベルフォートが食事の席にて。
一緒に仕事をすることになるロクでもないメンバー達の一人が、俺は何でも売れる!と豪語します。
するとベルフォートが、
「何でも売れる?じゃあこのペンをおれに売ってみろ」
と言い、何の変哲もないペンを渡します。
しかし、ペンを渡されたメンバーは言葉に詰まってしまいます。
そこでブラッドというリーダー格に「手本を見せてやれ」とペンを渡します。
ブラッドはペンを手に取り、言います。
ブラッド:「そのナプキンに名前を書け」
ベルフォート:「・・・ペンは?」
ブラッド:「需要と供給だ」(と言ってペンを渡す)
というシーンです。(悔しいですが恰好いいです・・・)
このシーンは、モノやサービスの価値はそれ自体が持っているのではなく、
それを利用する時にこそ、決定されるということを教えてくれます。
また、セールス活動とはペンのスペックや値段を説明するのではなく、
ペンが価値を発揮できる状況(=需要)を創ることだということも教えてくれています。
この価値の決定・創出及び企業(営業)の役割について、
コトラーのH2Hマーケティングに記載の内容が興味深いので紹介します。
以下、書籍『コトラーのH2H「人間中心マーケティング」の理論と実践』より抜粋・引用、加筆修正
従来、価値は企業から顧客へ「メリットの販売で提供」していた。
しかし、顧客はもはや企業が提供する情報に依存しておらず、力を得た。
※プロシューマー(生産消費者)という言葉がその一例
これまで、事業に対して受動的な役割しか果たしてこなかった顧客も
「能動的な共同創造者」として、企業に「個人が持つ知識やスキル、
学習や実験への意欲、積極的な対話を行う能力」を提供して協働する。
これにより、企業の見方も一変する。
企業は一方的にモノやサービスに価値を埋め込むのではなく、
顧客が自ら価値を引き出す価値提案を提供する。
企業が提供するのは経験の機会のみであり、
価値ある経験そのものを“生み出す”ことはできない。
経験を価値あるものとして息吹かせるのは顧客自身なのだ。
企業はもはや“価値の創造者”ではなく“価値共創の協働アクター”となるのだ。
今日では“価値”とは、企業と顧客が
「共創し、統合するもので、共に学習することで出現する」と言える。
価値を認識できる状況(=需要)を創ることは、引続き営業の仕事ですが、
実際の価値を享受するには、営業の仕事の範疇を越えます。
価値は常に、受益者(顧客)によって独自に決定されるものだからです。
営業活動及びスキルは、如何にその価値を訴求するか?が重要視されてきました。
しかし、対象の顧客(=受益者)が得られる価値を最大化するには、
共に創る(共創)ということをより意識して、提案していくことが重要なようです。
顧客と一緒に価値を創りましょう。
顧客に必要な関与を求めましょう。
価値とは共に創るモノであると訴求、提案しましょう。
マーケティングの進化に伴い、求められる営業スキルも同様に進化が必要です。
また、H2Hマーケティングでは、コンテンツマーケティングの重要性も触れられています。
コンテンツマーケティングについては、下記をご参考下さい。
▼営業のABCとは?-営業組織こそコンテンツマーケティングを-
▼アリジゴクに思う、戦略におけるコントローラブルな変数の重要性
追記)
因みに、H2Hは、Human to Human のことです。
近年のマーケティングを統合した概念的なモノなので、
B2BやB2Cの様にビジネスシーンで一般的に使われる用語とはならないと思います。
なぜ「to」を「2」で表記するのか?が疑問ですが、これは英語的なオシャレらしいです。
H2と表記されると、どうしてもこれをイメージしてしまいます。
僕は世代的に、タッチよりもH2です。
そして、「浅倉 南」よりも「新田 由加(新田の妹)」派で、
「雨宮ひかり」よりも「小山内 美歩」派です。