褒める目的から逆算して考える-成長型マインドセットの形成-
子供がテストで良い点を取った時(=何かしらの良い結果を出した時)、
褒め方についてひとつの鉄則があると言われています。
それは、才能ではなく努力を誉めること、です。
スタンフォード大学教授のキャロル・S・ドゥエック氏の研究として広く知られています。
以下、マシュー・サイド著『才能の科学』より抜粋、加筆修正
※少し長いですが、非常に示唆に富んだ実験ですのでご確認下さい
キャロル・ドゥエックは研究仲間と共に、5年生400人に単純な問題を解かせた。
その後で、それぞれの生徒に点数をつけて、あるものを与えた。
ちょっとした褒め言葉だ。
生徒達の半分は、知能を褒められた。
「頭が良いねぇ!」
残りの半分は、努力を褒められた。
「本当によく頑張ったね!」
最初のテストを終えてから、
生徒達には難易度の高いテストか低いテストを受ける選択肢が与えられた。
知能を褒めらた生徒達の3分の2が簡単な課題を選んだ。
難しいテストで失敗する可能性を負って、
「頭が良い」レッテルを失う危険性を冒したくなかったのだ。
だが努力を褒められた生徒達の90%は、難しいテストを選んだ。
成功ではなく、実りある挑戦の可能性追求に関心があったからだ。
この生徒達は、自分がどれだけ頑張れるか示したかったのだ。
次に与えられたテストは、非常に難しくて誰も解けないものだった。
だが、生徒達の失敗に対する反応にも劇的な違いがあった。
知能を褒められた生徒達は、
自分が失敗したのは、結局問題を解くのが得意でない証拠だと捉えてしまった。
努力を褒められた生徒達は、
テストにずっと長く取り組み、それを楽しみ、少しも自信を失わなかった。
最後に、実験が一通り終わってから初めに立ち返り、
最初のテストと同じ難易度のテストを受けることになった。
どうなっただろうか?
知能を褒められた生徒達の実績は、
難易度が同じにも関わらず最初のテストに比べて20%低下した。
だが努力を褒められた生徒達の実績は、30%増加した。
失敗がむしろ彼らを駆り立てたのだ。
子供の知性を褒めることは、意欲を損い、成績を損なうのだ・・・
いかがでしょうか?
“褒めてのばす“というアプローチは一般化されており、
すごいね!、よくできたね!、という声掛けはよく耳にするかと思います。
しかしながら、ここに注意が必要なようです。
成長型のマインドセットを形成する為には、
その努力に焦点を当てたフィードバック(=褒める)を意識しておきましょう。
さて、子育てに関しては、非常に納得です。
では、この考え方を、既にがっつり成人してしまった僕達にはどう活かせば?
同じように部下やチームのメンバーに適用できますか?
ちょっと厳しいと思います。、。
今回のケースにおける褒めるという手段の目的は、
「人間の基本的な能力や資質は努力次第で成長させることができる」
という成長型マインドセットを獲得させることです。
元も子もありませんが、自分は成長型マインドセットであると決めることです。
褒められてそれを形成する、というプロセスをすっ飛ばしましょう。
そこまで待てません。もう大人なので。
特にビジネスにおいては、
日々の経験から失敗を活かすという形での成長機会に恵まれています。
それらを通して、成長型マインドセットを
より強固なモノにしていくというアプローチを推奨です。
詳細は、下記も参考にして下さい
【受失注データの活用−失敗は成長型マインドセットで捉える–】
追記)
しかしながら、承認欲求を満たす、という褒められる効用は捨てきれません。
誰でも、幾つになっても褒められたいものです。
僕自身も例外ではありません。
もう大人なので、そこは才能、努力どちらを褒めれば・・・とか関係なく、
気軽に褒められたいものです・・・