対立した議論こそが価値を生む
イエスマンという表現があります。
“人の言うことに何でも「はい、はい」と言って、無批判に従う人“
という使われ方です。
イエスマンの響きは良いのですが、あまり良い意味ではありません。
組織においても、イエスマンばかりではダメだ、というのは、
共通の認識ではないでしょうか。
では、なぜイエスマンばかりではダメなのでしょうか?
それは、対立した議論こそ価値を生む可能性が高いからです。
議論はイノベーションの源泉の一つです。
人が互いに尊重し合いながら口論し、
何かしらの議論が正しく行われる時には、
生産性と創造性がアップすることが多くの研究によって示されているそうです。
大切なのは、相手を論破することではなく、
自分の主張を示しつつ、相手の主張を理解・評価・批評するという、
活発なプロセスを通じて、共通のゴールに向かって議論することです。
相手を論破し、自らの主張を証明することが目的にならないよう、注意は必要です。
また、健全な議論は(健全でない場合も)、対立構造から生まれます。
書籍『頭のいい人の対人関係』犬塚壮志著 にて紹介されている、
「A-B-Xシステム」が分かり易いです(以下、同書より引用、抜粋、一部加筆)
▼A-B-Xシステムで関係を考える
自分(A)と相手(B)とある対象(X)について、下図のような関係性を考えます。
この関係性を「A-B-Xシステム」(Newcomb,1953)といいます。
対象(X)に対して、あなたと相手の意見や見解が合わなかった場合、
2人の間でのコミュニケーションが活発になります。
これは、あなたと相手との関係性がバランスを崩し、緊張関係が生まれるからです。
この「緊張」を不快だと感じ、解消しようとして話し合いが促されるのです。
対立を恐れてはいけません。
意見が不一致だからこそ、コミュニケーションが促進されると考えると、
あえて異なる意見で対立を演出することも一つの方法です。
1点、気をつけておかなければならないのは、
相手との関係性が良好であることが、この場合の前提条件です。
対立による「緊張」を不快と感じるのは、お互いに好意的だからです。
好きな相手との意見は一致させたいですが、
気に食わない相手との意見が食い違っても、別に気にならないからです。
健全に対立し、議論するにもベースになる関係性は必要です。
それを踏まえて、組織内あるいはお客様に対しても、
“対立した議論“に挑戦してみては如何でしょうか。
関連して、下記もご参考ください。(タイトルか画像をクリック)
自分の思考をアップデートする為には、人の考えを活かせなければなりません。
議論することと近しいアプローチが、
“非協調的な人達の協力による、挑戦的なネットワークをつくる“です。
グッド・ファイト・クラブというキーワードで纏めています。
A-B-Xシステムを活かす為にも、そもそもの関係性が重要と指摘しました。
では、関係性はどのように構築すればいいのでしょうか?
ザイアンス効果(単純接触効果)を活かす方法論として、
好意形成ループというキーワードで纏めています。
追記)
イエスマンばかりではダメだと知りつつも、
主義やスタンスの異なるメンバーの登用が難しいのも、また事実。
HUNTER×HUNTER No.321/怪者 より
これでハンター協会も苦労してましたね。。。