エウレカの落とし穴を乗り越えて
エウレカ(Eureka)という言葉があります。
ギリシア語に由来する感嘆詞で、何かを発見・発明したことを喜ぶ時に使われます。
古代ギリシャの学者アルキメデスの逸話が有名なのですが、
彼がお風呂に入った時、浴槽に入ると水位が上昇することに気づき、
上昇した分の体積は自身の体の水中に入った部分の体積に等しいことを発見します。
これで、形状が複雑な物体の体積を正確に量ることができる!となり、
「エウレカ(Eureka)!」と叫んで、風呂から飛び出したそうです。
ここまでの大喜びは無いにしても、
何かを発見し、わかった!と思える瞬間は気持ちが良いものです。
日々の仕事においても、
「なるほど、そういうことか!」とコツを掴んだり、
要領を得た時の快感は皆さんも共感頂けるのではないでしょうか。
しなしながら、脳科学的にはこの「エウレカ(Eureka)」という状態は、
ある種の落とし穴で注意が必要なようです。
以下、書籍『夢を叶えるために脳はある』(著:池谷裕二)より引用、一部加筆修正
「わかった」という感覚は、実は学習を遅滞させるんだ。
「理解した!」「わかった!」は、確かに気持ちがいい。
「ああ、なるほど!」となればスッキリする。
でも、このスッキリ感は、本当に歓迎すべきことなのだろうか。
というのは、わかったことについては、「はい、オッケー!以上」と完了した感じがつきまとうよね。
だから「わかったことはもういい」「だってわかってるんだから」と片付けがちなんだ。
「わかっているから、もうやらなくていい。だってもう知っているもん」という具合になる。
つまり、「わかる」という感覚は知識欲を減退させ、短絡的な理解と、思考停止を招く。
実は「わかる」は、学習においては弊害なんだ。
学習とはわからないまま、モヤモヤしたなかで前進していくほうが効果的だ、と言える。
・・・なるほど。。。
わかるためにやっている(学習している)のに、わかった瞬間に落とし穴があるようです。
答えのある勉強であれば、わかる=完了でもいいかもしれませんが、
僕たちの取組んでいるビジネスは、唯一の答えというものはありません。
なので、わかった気にならずに、
「まだまだわからないなぁ・・・」と試行錯誤している時こそ、
前に進めているということでしょうか。
極真会館創始者である、
空手家の大山 倍達(おおやま ますたつ)氏は晩年こう言ったそうです。
私は未だに疑問に思うよ。
この正拳の握り方が正しいのか、いつも考えている。
空手の達人でも拳の握り方に疑問を持ち続ける・・・
その姿勢に学習の本質があるのかもしれません。
「わかった!」という時の快感はなかなか得難いものですが、
そこで立ち止まり、「まだまだわかっていないかも・・・」と試行錯誤をすることが、
ビジネスパーソンにとっての大切な成長機会といえそうです。
とりあえず、わからないことは悪いことではない、ということはわかりました!
追記)
わかった!という快感は、ドーパミン(快楽物質)の分泌によるものだそうです。
おもしろいことに、脳の仕様は「わかった!」というゴールに達していない場合でも、
ドーパミン(快楽物質)が分泌されることがあるそうです。
それが、好奇心を持った時らしく・・・、
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