ピーターの法則に屈したくない-無能化への抵抗-
出世魚とは、稚魚から成魚までの成長段階において異なる名称を持つ魚です。
しかし、英語圏では同様の言葉は無いそうです。
出世が約束されていた終身雇用の日本的経営の慣行が関係しているのでは?と
勘ぐってみましたが、全く関係ありませんでした。
武士や学者が元服や出世に際し改名するという慣習と、食文化によるモノだそうです。
この出世魚、“縁起が良い魚”と解釈されてお祝いの料理に好んで使われますが、
今後そのポジションが安泰とは言えないかもしれません。
何故なら、出世を望まないビジネスパーソンが増えてきているからです。
その是非や組織運営における影響は一旦置いておき、
そう思うことの妥当性を感じさせる法則があります。
ピーターの法則をご存じでしょうか。
組織構成員の労働に関する社会学の法則で、提唱自体は1969年と結構古いです。
因みにこの法則、一部の方には不快(というかムカつく)に感じると思いますがご容赦下さい。
以下、ローレンス・J・ピーター著『ピーターの法則』より引用(一部加筆修正)
▼ピーターの法則
「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、各々の無能レベルに到達する」
有能なレベルから昇進し、新しい地位でも有能と認められるということは、
さらに次の昇進が待っているということだ。
つまり、全ての個人にとって最後の昇進は、有能レベルから無能レベルへの昇進となる。
全ての個人は、その人なりの無能レベルに行きつくまで昇進し、
その後はそこに留まり続けることになる。
やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。
そして仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われている。
つまり、今の職責で有能な人材も次の職責で有能である保証は無いが、
そもそも有能でなければ昇進しないので、
現状の職責で留まり続けているのは無能の証だ、と言うのです。
えなりかずぎ氏でなくても、そう言いたくなります。。。
なかなかの、えなり案件です。
有能なプレイヤーがマネージャーになっても上手くいかない、
というケースは営業組織でも多々あります。
出世して無能になるくらいであれば、
有能のままでいられる今の役職をキープした方がいい、というのがピーター氏の主張です。
無能化へのリスクヘッジとして、出世を望まないという選択肢も確かに妥当性は感じます。
しかしながら、
新しい地位で成果を出す為にはどうするか?をやはり考えたいところです。
ピーターの法則がいう“無能化”に抗いたいのです。
ひとつのアプローチは、“早めに準備をする”です。
『管理職になったら読む本』を管理職になってから読んでいては遅いのです。
自分の今の役職より、一つ上(次の役職)の視座・視点を早めに持つことが求められます。
対象者の視座・視点を持つ際のコツは、その対象者の課題を知ることです。
※以下、出典『HUNTER×HUNTER』1巻 No.002 嵐の出会い より
「その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ」
相手が怒っている(=思い通りになっていない)ことを知りたいのです。
それが分かれば、適切な対応を思索・準備することが出来ます。
例えば課長職が「課長の仕事(仮)」という本で勉強すれば、
課長としての課題解決のやり方(how to)は学べるでしょう。
しかしそれ以上に「部長の悩み(仮)」という本で勉強すれば、
そもそもの今後解決すべき課題を把握できるかもしれません。
まずは自分の上司(次の職責)が何に悩み、課題を感じているかを掴んでいきましょう。
現在の自分がどう立ち振る舞うべきか?という部分も変わると思いますし、
出世した後にスムーズに課題解決に臨める可能性が高まるはずです。
無能のレッテルを張り付けてくるピーターの法則を、乗り越えていきたいものです。
追記)
因みに、個人的にも出世こそが正義と思っているわけではなく、
多様な働き方で自身の目的を達成していくべきだ、という考え方には賛同です。
それでも、役職が上がるということは一つの挑戦であり、
ビジネスを面白くする要素になり得るとも強く思っています。
それには、“フロー”という考え方が関係しているのですが、詳細は下記参照下さい。