モチベーションはスキルでありマナー
僕は直撃世代ではないのですが、タイガーマスク(プロレスラー)をご存じでしょうか。
元々はテレビアニメのタイアップ企画だったそうですが、覆面レスラーとして人気を博し、
現在でも引継がれているらしいです。
その初代タイガーマスク、佐山 聡(さやま さとる)氏の言葉です。
“自分でやる気になること、これも技術のうち”
モチベーションという言葉が広く使われる様になったのは、いつ頃からでしょうか。
「部下のモチベーションが低い(上がらない)・・・」というお悩みもよく聞きます。
評価制度やコミュニケーションの改善がめちゃめちゃ大事であることに異論ありませんが、
人(部下)のモチベーションをどう上げるか?という問いは、設定がイマイチだと思います。
モチベーションくらい自分で上げとけよ、と思います。
それは本人の技術であり、スキル不足の問題なのです。
「最近モチベーションが上がらなくて・・・」と、
幼い息子やモラトリアム期間ど真ん中の甥っ子/姪っ子からの相談であれば、
親身に対応したいところですが、ビジネスパーソン(部下・同僚等)からの相談であれば別です。
「それはスキルの問題なので、身に付けるしかないですね!」です。
例えば皆さんが顧客の立場として、
ある営業パーソンが「最近モチベーションが・・・」と言っていたらどう思いますか?
それでパーフォンマン(品質)が低下してしまうのであれば、困ります。
サービスを受ける側として、納得できないでしょう。
モチベーション高く仕事・業務に取組むことは、ビジネスパーソンとしてのマナーなのです。
ということで、人(部下)のモチベーションを上げる方法は一旦置いておき、
自分自身をモチベートする為の考え方としてご参考下さい。
ひとつの方法が、ロールモデルを設定することです。
ロールモデルとは、お手本になる人物(対象)のことです。
何かしらの行動を起こす理由は、あるべき姿と現状のギャップを埋める為です。
そう考えると、どうしても現状と比べるべき対象(=あるべき姿)の存在が必要です。
この際、上と下、どちらと比べるか?です。
これを“上方比較”と“下方比較”と言います。
上方比較とは、自分より上の相手(存在)と比較すること、
下方比較とは、自分より下の相手(存在)と比較すること、を言います。
下方比較をすることで、自分の現状に“感謝”を感じ、
それもモチベーションに成り得るとは思いますが、基本的には上方比較をしましょう。
何故なら僕達は、“ダニング=クルーガー効果”が発現している可能性があるからです。
▼ダニング=クルーガー効果とは
※以下、Wikipediaより引用、加筆修正
能力の低い人は自分の能力を過大評価してしまう、という認知バイアス。
ダニングとクルーガーは、
基礎心理学科の学生に対する優越の錯覚を生み出す認知バイアスについて、
論理的推論における帰納的、演繹的、派生的な知的スキル、英語の文法、
ユーモアセンスなどについての自己評価を調べることによって仮説を検証した。
自己評価のスコアが確定した後、
学生達はクラスにおける自身の順位を推定するよう求められた。
有能な学生達は自身の順位を実際より低く評価したが、
無能な学生達は自身の順位を実際より高く評価した。
有能な学生達は、自分達が容易に実行できたタスクは、
他人にとっても実行は容易であると誤って推測したからである。
無能な学生達は、自分達の能力の不足・不十分さ、
他社の能力の高さを正確に推測できていなかったらである。
また、無能な学生たちも、
その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる。
相手の強さが分かるのも強さのうち、と戸愚呂弟も言っていました。
※出典『幽☆遊☆白書』6巻 act.51-強くなりたい!!より
つまり、能力が伴わないうちは、自分の力を過大評価しがちということなので、
とりあえず上方比較をしておければ、比べる相手としては適当なはずです。
ただし、“エリート校の劣等生問題”という側面もあります。
あまりに比較対象がかけ離れていると、
良好なセルフイメージが保てずモチベートされない、という現象です。
いい塩梅の対象を探して設定していくしかありません。
そして、ロールモデルとして比較する(目指す)対象を設定することは、
人格同一性効果の観点からも有効です。
▼人格同一性効果とは
※以下、池谷雄二著『自分では気づかない、ココロの盲点』より抜粋、加筆修正
例えば、子供にウソを止めさせたいときを思い浮かべて下さい。
1:ウソをつかないでね
2:ウソつきにならないでね
どちらの言い方が効果的でしょうか。
これが、2:ウソつきにならないでね だと言われています。
この現象は、元々は犯罪心理学の研究からわかってきたそうです。
止むに止まれず悪事に走ってしまう場合、
「自分は本当は善良な人間だが、今回ばかりは特別だ」と考え、
“本来の人格”と“実際の行動”を分けて考えています。
1の場合、行動(~すること)を否定しますが、
2の場合、人格(~であること)を否定しています。
脳は、一回の過ちを否定されるよりも、人間としての本質を否定されることに抵抗を感じます。
これを、人格同一性効果といいます。
つまり、自身をモチベートしてある行動(~すること)をとりたい場合、
その行動をとる人格(~であること)にフォーカスする方が強力なのです。
その行動をとる人格であろうとすることは、“演じる”ことに近いと言えます。
演じるというアプローチの有用性については、下記を参考にして下さい。
因みに、自分自身が組織のロールモデルになるぞ!という設定も効果的なのではないかと思います。
以上をひとつの方法としてご紹介しましたが、
皆さんも自分のモチベーションを上げる方法はいくつか持っていませんか?
マインドセットの仕方や、動画や音楽、スポーツや筋トレなどもあるかもしれません。
これだ!というモノがあったとしても、慣れてくると新しい刺激が必要です。
小手先のテクニックも侮るなかれで、探して試し続けることが大切です。
そろそろお気づきだと思いますが、
「モチベーションの維持はマナーだ」と偉そうなことを言っておきながら、
僕自身もモチベーションアップの方法を探し、試し続けている状況です・・・。
お薦めの方法があれば、教えてください。
追記)
冒頭の佐山聡氏の言葉は、Youtubeで検索すると出てくると思います。
が、ちょっと怖すぎる映像もあるので閲覧注意です。。。
お薦めのアゲてくれる動画は、下記3つです(Youtubeで検索してみて下さい)
1)ボカU-15(アルゼンチンのサッカーユースチームのキャプテンの演説)
2)男には人生を賭けて戦わなアカン時がある(立命館大学アメフトチームのミーティング)
3)カロリーメイトCM『夢の背中』(CMのフルバージョンです)